中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議(6中会議)の開催直前に、中国国内のテレビでは、中央紀律監督検査委員会(中紀委)が製作した反腐敗キャンペーンドキュメンタリー(全8回)番組、『永遠在路上』(直訳は『永遠に道の途中にある』、反腐敗キャンペーンが終わらないことを意味する)が17日から連続して放送された。番組では、汚職や腐敗で失脚した大物官僚が相次いで出演し、莫大な金額の汚職について「反省」の言葉を口にしている。習近平政権が同番組を通じて、党内に「見せしめ」の狙いがあるとされる。
その一方で、北京市にある国家信訪局の前だけでなく、各地で毎日各地の政府に、生活問題を解決してもらうように多くの国民が陳情に殺到する様子をよく見かけるようになった。国民は、国民の権利を無視する中国共産党政権への不満と怒りがピークに達している。
相次ぐ大規模なデモ、国民の怒りが爆発寸前
このほど10月11日、1万人以上の退役軍人が北京市にある人民解放軍の中枢機関である「八一大楼」を取り囲み、デモを行った。19日、国内26の省から約1万人の民弁教師が国家信訪局と教育部の前で、正規教員資格の認定や社会保障を受けられるようなどを訴えてデモを行った。21日、インターネット上で詐欺にあった被害者200人がまたも国家信訪弁公室の前で抗議活動を行った。
しかし、共産党政権は国民の死活に関わる陳情を無視するだけでなく、逆に国民を鎮圧の対象としている。中国人権問題情報サイト「六四天網」によると、国内各地の政府当局は、陳情者が北京に入るのを阻止するために、拘禁、監視を行い、さらに強制的に旅行させようとするという。また、北京市にある政府の陳情受付機関の前で、地元政府に派遣された陳情者を阻止して拘禁するための人員が道の両側に立ち、待機しているという。
これはどのような政府であろうか。国民を何だと思っているだろうか。
これまで大紀元は、北京市に入り陳情する国民はほとんど、地元政府に陳情しても問題解決してもらえず、やむを得ず政府の中心地である北京でデモを行う人だと報じてきた。以前の報道では、吉林省からのある陳情者は「すべての陳情者は、中国で法律に基づいて陳情を行っても無駄だと分かっている」「共産党には公正のかけらもない」、それでも陳情者がデモを行おうと思ったのは「この機会に政府官員の醜さと中国共産党の腐敗を暴くことにある」と話したことがある。
19日に民弁教師によるデモ活動に参加した黒龍江省の王先生は「以前中央政府から黒龍江省に対して、民弁教師のうちの7千人に正規教員の資格を認定するとの政策があったが、実際には500人しか認定を受けていない」「省内の慶安県では、県長や県教育局長などが共謀して、300人の正規教員資格認定枠を競売にかけて、1つの認定枠に3~5万元(約45万~75万円)の相場を付けた。その儲けを官員らが山分けした」と話した。
王先生自身は2003年に解雇された後、清掃員、レストランの洗い場などの職を転々としながら、13年間も陳情を続けてきた。王先生の話によると、一部の民弁教師の収入は、毎月200元(約3千円)余りの政府補助金しかなかったという。
1人が1カ月で200元。1年間で2400元(約3万6千円)。5人の民弁教師で、1年間たったの1万2千元(約18万円)。この金額は、6月に収賄の罪で当局に終身監禁の判決を言い渡された元雲南省党委員会書記の白恩培が受け取った賄賂、約2億5千元(約37億5千万円)と比べたら、あまりにも微々たるものだ。腐敗官員らが受け取った莫大な賄賂のほんの一部だけで、多くの貧困に苦しむ国民の生活を直ちに改善することができたはず。しかし、共産党政権は根本的に自らの権力強化以外に興味がないのだ。
(続く)驚きの腐敗実態と大規模デモ多発からみる中国共産党の末路(2)
(時事評論員・程暁容 翻訳編集・張哲)
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