最近、ロシアの最新鋭戦闘機「Su-35(スホイ35)」4機は昨年12月下旬、中国軍側へ引き渡されたと、中国国営メディアが報じた。一方、ロシアの専門家によると、ロシアは中国に技術盗用されるのを強く警戒して「複製不可能」にするため、同機のエンジンを溶接するなど細工したという。
ラジオ・フリー・アジアは2日、ロシア国内の報道として、Su-35は12月25日に中国滄州の飛行訓練センターに到着し、すでに中国側は操縦士の訓練を開始したと報じた。ロシアは2015年、中国とSu-35の売却契約している。
ロシア専門家「予防措置なしで中国へは渡さない」
一方、ロシアの専門家の多くは、中国はSu-35を手にした時、同機のエンジン技術を盗み出すと推測している。そのため、中国へ渡る前にエンジンに細工して「複製不可能」にしたのではないかと見ている。
ロシア政策研究センター理事会主席で退役中将Yevgeni buzhinski氏が11月15日、米国のニクソンセンターで演説し「ロシアはいかなる(技術盗用問題への)予防措置のない状況で、中国に、優秀な技術を明け渡すことはありえない」と明言している。
buzhinski氏はまた、「われわれにはロシア軍で使うものと、輸出用をそれぞれ用意している。中国人はモノを複製するのに長けている」と、売却したSu-35と、ロシア軍の使用する同機とは性能が異なると述べている。
この措置について、ロシア語の軍事情報サイトも12月31日に、中国に渡ったSu-35のエンジンの肝心な部位は溶接され、一部は動かないと指摘した。
ロシアの大手ニュースポータルサイト「Rambler.ru」の軍事カテゴリで12月29日、このエンジンについて話題になった。それによると、中露は知的財産所有権の合意を締結したが、中国へ戦闘機を輸出して、合意内容が保たれることはありえないと指摘。「この合意には何らの意味もない」との意見が多数寄せられた。
ロシアのネットユーザは「中国は、エンジンのコピーができないと知れば、中核を調べるために全体を壊すのかな」などと皮肉った。
中国軍の戦闘機や空母などは、エンジンの技術力不足により、その能力を発揮することができないのではないかと指摘されている。中国軍空母「遼寧」は、強力なエンジンが備わっていないため、蒸気タービンを追加しなければならず、航続能力に限界があるとされる。また、中国のステルス戦闘機は、その最大の特徴である「超音速の飛行」はできないとされる。
1989年、中国共産党政権が民主化運動を軍事弾圧した「六四天安門事件」以後、欧米諸国は武器の輸出を停止し、高レベルの軍事の交流を断っている。そのため、今日まで、中国軍は先進的なエンジン技術を輸入することができない。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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