中国新疆ウイグル自治区(以下・新疆)政府は区内のイスラム教徒への抑圧をいっそう強めている。4月1日から施行する新条例は、イスラム圏の伝統である男性の長ヒゲ、女性の公共の場での覆面を禁ずるほか、名づけ禁止の名前一覧表をも公布した。内外から、対テロ対策を口実の宗教迫害などと批判があがっている。
新疆の住民の約5割はイスラム教を信仰するウイグル族でその人口はおよそ1000万人。中国当局は、新条例は「宗教への熱狂を抑制する対策の一部」と説明している。
「国家分裂または宗教の意味合いがある」として命名を禁止される29の名前のうち、人気の高いジハード、ムハマディ、イマーム、サダム、アジ、マディナーなどが含まれる。そのほか、イスラム、メッカ(イスラム教聖地)、中央アジアの地名も使用禁止の対象である。違反する新生児は出生届が受理されず、学校教育を含む社会福祉などを受けることができない。
新疆で長年来、ウイグル族と当局の間で衝突が多発し、武装警察部隊が大規模に進駐している。当局は、同自治区はイスラム原理主義、テロ、国家分裂思想の温床だとして抑圧政策を正当化しているが、ウイグル族は、共産党政権による宗教・言論への厳しい制圧こそ、地区の不安定な情勢をもたらす主な原因だと真っ向から反論している。
昨年10月から、同自治区の全住民を対象とする出国制限令が発動された。当局が保有者全員のパスポートをとりあげ、出国を許可された人にのみ、パスポートを一時返却する。
新条例の実施にあたって、海外の人権擁護団体などから、中国共産党政権は反テロという大義名分のもとで、ウイグル族の基本的な人権を尽く侵害しているといった批判が高まっている。
(翻訳編集・叶清)
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