4.北朝鮮代表団出席
国際社会で挑発行為を繰り返している北朝鮮と中国当局はこのほど、関係が悪化したにもかかわらず、中国当局は北朝鮮にサミットへの参加を招待した。北京にある駐中米国大使館は中国外交部に対して、「間違ったメッセージを送ることになる」との書面を送り付けて抗議した。
いっぽう、招待を受けた北朝鮮側は、同サミット開幕当日の早朝で新型中長距離弾道ミサイル「火星12」を発射し、中国当局を立場のない状況に陥らせた。また、国際社会の同サミットへの関心を低下させた。
サミットに参加した北朝鮮代表団は各メディアとの接触を避けるように、控え目に行動していた。
中国当局は核・ミサイル問題で北朝鮮に対して厳しい制裁措置を実施すると表明しながら、「一帯一路」参加国にインフラ整備を支援する国際会議に北朝鮮を招請したことから、中国当局が依然として北朝鮮の後ろ盾であることや当局の「一貫性を欠ける」特徴を表したとみる。
5.インド、サミットに参加拒否
中国当局がパキスタンとの間で提携している「中パ経済回廊」を「一帯一路」構想に取り入れ、インドとパキスタンが主権を争うカシミール地方でダムを建設することに対して、インドは強く反発した。過去、インドとパキスタンの間で起きた3回の戦争のうち、2回はカシミール地方の領有権をめぐるものだった。
インドは同サミットへの出席を拒否したうえ、他の国に対して今後巨額な負債に耐えなければならないと警告した。
ロイター通信は、中国の資金援助で行われる大型インフラ建設プロジェクトによって、援助対象国は債務返済の負担が重くなる可能性があることは、新シルクロード経済圏構想の一つの欠点だとの認識を示した。
6.人権問題、融資の不透明さ
中国当局は「一帯一路」構想によって各国に互恵的かつウィンウィン関係を築けると主張してきた。しかし、この経済圏構想には、人権問題が深刻な中央アジア国も含まれている。
米国ニューヨーク市に本部を置く人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、インフラ整備を進める中で、地元住民の生活に打撃を与える恐れがあるとの懸念を示した。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が発表した声明で、タジキスタンが2014年にダム建設の際、予定地周辺の住民に十分の補償を提供せず、強制的に他の地区に移転させたとの事例を取り上げた。また、「一帯一路」プロジェクトを狙った襲撃を防ぐためだとして、中国当局は新疆ウィグル自治区で住民らへの監視を強化していると指摘した。
今年1月にスリランカでは、中国当局が出資し港建設や工業地帯の建設計画に数百人の地元住民が抗議活動を行った。計画には、数千人の住民の強制退去を予定していた。住民らは警察と衝突し、警察を含む約21人が負傷した。
中国資本によるインフラ建設に地元の人々が抵抗するケースはこれまで、ラオスやタイ、さらにアフリカでもみられた。
最も不安視されているのは「一帯一路」参加国に対する融資の不透明さ
中国が提唱する巨大な「一帯一路」経済圏構想は、対象国が70カ国以上、世界の人口の65%をカバーし、そして国内総生産の合計は世界全体の4割を占める。それでも、世界各国はその構想に対して多く懸念している。専門家は、最も不安視されているのは中国当局が「一帯一路」参加国に対する融資の不透明さだと示している。
自由経済市場ではない中国当局は、多くの資本主義国で国際基準に従いインフラ投資を進めていけるかはまだ不明だ。開幕式で、中国の習近平国家主席は、政府系ファンド「シルクロード基金」に新たに1000億元(約1兆6000億円)を増資すると表明した。しかし当局は、どこから、そしてどのように投資資金を捻出するかについて、中国国民に説明を行っていない。
増資について、国会に相当する全国人民代表大会での審議もない。中国当局が国際基準とまだかけ離れていることが示された。
(おわり)
(翻訳編集・張哲)
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