[横浜市 6日 ロイター] – 海上自衛隊で初となる女性の艦隊司令が6日、誕生した。女性の活躍の場を広げようという安倍晋三政権の政策の流れに沿った動きで、さらに自衛隊は少子高齢化による人員減少を見据え、女性の採用や登用の拡大を進めている。いずれは潜水艦への配置も検討している。
東良子・一等海佐が着任した第一護衛隊司令は、海自最大の護衛艦「いずも」など4隻、合計およそ1000人の隊員を指揮する。東隊司令は6日午前、約400人が出迎えたいずもの格納庫内で、「ただいまから、第一護衛隊の指揮を執る」と訓示した。
東隊司令は1992年に女性一期生として防衛大学校へ入学。2013年に女性として初めて練習艦の艦長となった。同期には同じタイミングで練習艦艦長に就任し、16年に初の女性護衛艦艦長となった大谷三穂・一等海佐がいる。
東隊司令は着任式の後、記者団に「女性ということは意識していない。護衛隊司令として与えらた職責を全うすることに集中していきたい」と語った。その上で「どのような任務を与えられても遂行できるようにしていきたい」と述べた。
女性自衛官数は現在、自衛隊全体の6%に当たる約1万4000人。第一護衛隊の4隻に限れば、いずもに乗るおよそ30人しかいない。募集適齢である18─26歳の人口が、現在の1100万人から2065年には約700万人に減ると予測されている(国立社会保障人口問題研究所)ことから、自衛隊は女性の割合を2030年までに9%以上に増やす計画を立てている。
海自は16年にほぼすべての職種の門戸を女性に開いた。唯一制限が残った潜水艦への搭乗も試験を始めている。航空自衛隊は15年に戦闘機パイロットを含む全諸種の配置制限を撤廃。陸上自衛隊は17年に特殊武器防護隊などの一部などを除き、制限をなくした。
海自には現在、4人の女性艦長がいる。一般大学から入隊し、統合幕僚監部の補給を取り仕切る女性の海将補もすでに誕生している。
東隊司令は、「(他の女性自衛官の)目標とされるような人間になれるよう日々精進していきたい」と語った。
*内容を追加し、写真を差し替えました。
(久保信博)
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