来日した米海軍作戦部長ジョン・リチャードソン氏は18日、米国は台湾海峡に空母を通過することを示唆していた。米軍艦は1月24日と昨年11月に同海峡を通過しているが、空母は過去10年ない。中国軍は爆撃機など複数の軍機を同22日と24日に派遣しており、海峡周辺をめぐる米中の動きが活発化している。
米国防総省の情報機関である米国防情報局(DIA)は15日に発表した、中国の軍事的な目標や能力を分析した報告書で、台湾問題が中国軍近代化の主な動機と分析し、中国が最新技術を駆使した軍事兵器開発を進めていることに強い警戒感を示した。
「どんなタイプの軍艦を通過させるのか、我々は制限を設けていない」とリチャードソン氏は記者団に語った。「台湾海峡はひとつの公海(の延長)と見なしている。私たちが通過するのはそのためだ」
安倍首相は17日、同氏との会談で、新防衛計画の大綱に基づき、日米同盟の強化や自由で開かれた海洋秩序の実現のため一層の連携を図りたいと述べた。リチャードソン氏は、米海軍と海上自衛隊の関係ほど良い協力関係はないと述べ、自由で開かれたインド太平洋のための協力を進めると応じた。
米国軍は空母を派遣する時、ミサイル巡洋艦を含む空母打撃群を構成する。ロイター通信の取材に応じた米国政府関係者は、米国の台湾に対する行動を中国当局は注視しているという。
台湾は、民主主義的な議会や行政のない中国共産党政権とは異なり、独自の議会、政府、司法、軍隊を持つ。しかし、中国習近平主席は1月2日の演説で、台湾に対して武力行使を辞さない「平和的な統一」を宣言した。台湾の蔡英文総統は、共産党政権による「一国二制度」は断固拒否すると即応した。米国のほか英国とドイツも、台湾の立場を支持する考えを表明した。
リチャードソン部長は、在日の米海軍基地での演説で「どんな砲撃もなくこの闘争に勝つことができれば、我々にとって最高の戦勝だ」と述べた。「しかし歴史が示すように、本気で勝つ準備をしていなければ戦勝とはならない。我々はどんな方面においても勝つ準備をする必要がある」
訪日前に中国に渡航したリチャードソン部長は、想定外の事態発生の回避のために、中国に海上での国際ルールの順守を求めた。
2018年9月30日、南シナ海で米イージス駆逐艦が「航行の自由作戦」を展開中、中国軍の駆逐艦が異常接近した。米メディアが公開した写真によると、米艦が中国艦との衝突を避けるために寸前で避ける様子が映っている。
リチャードソン部長は、日本との関係について「強固な関係にある日本への到着は毎度喜ばしい事で、更に強力な関係を築いて離れる。これは偶発的なことはなく、道徳と先見の明ある強いリーダーシップの下で起きている」と述べた。
米軍発表によると、米海軍と海上自衛隊は定期的に2国間の海上演習を実施し、インド太平洋地域の安全を促進するために共に活動している。
(編集・佐渡道世)
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