中共肺炎、深刻なイタリア 一部では反中感情の高まり

2020/03/06 更新: 2020/03/06

イタリアは、中国と韓国以外で最も深刻な中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染の被害が報告されている国だ。3月5日までに3000人を超える症例が確認され、107人が死亡した。インターネットでは、一部の中国系店舗が暴徒により破壊されたり、中国人を侮辱したりするネットの書き込みが現れた。

一帯一路に参加表明した欧州で最初の国であるイタリアは、対中融和政策を取っている。感染症の広がりにより、イタリア国民には一時、対中感情の悪化がみられたという。

インターネット上には、中国人経営者の店舗が襲撃されるという事件が発生したとの情報や、現地の中国人はイタリア人に嫌がらせを受けているとの情報がある。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)の取材に応じたミラノ大学の研究者フェデリカ氏は、こうしたアジア人に対する差別がある事実を知っているが、決して許されるべきではないとした。

2019年9月に発表された、ピュー・リサーチ・センターによる世論調査によると、イタリア人の対中国感情は57%がネガティブだとした。

フェデリカ氏は、感染症蔓延の以前から、中国人に対する差別的な言動はイタリアにはあった。しかし、中共肺炎(新型肺炎)による印象の悪化は限定的だとしている。すでに、イタリアでは中国渡航者以外の感染者が増加している。

フェデリカ氏によると、イタリアのメディアは、今回の中共ウイルス蔓延により、国の主要な収入源である観光事業が打撃を受けることを懸念している。

「イタリアは世界的に有名な観光国であり、食文化の国だ。イタリアの国内総生産(GDP)の13%以上は観光産業が占める。南イタリアの経済はさらに観光の依存度が高い。イタリアの最も南東の州であるプーリアは最近、数十年で新しく開発された観光産業だ」

中国映画研究者のルイーザ・プルデンティーノ氏は、観光地域における中共ウイルスの影響について大きな懸念を表明している。

「ウイルス感染症により、観光業は深刻なダメージを受けた。ほとんどすべての観光関連事業がキャンセルされ、観光客はほとんどいない。私たちが心配しているのは、これらの人が来なくなったホテルやレストランが抱える難関を、どのように乗り越えていくかということだ」

イタリアではドイツやフランス同様、移民問題の高まりにより、極右政党が台頭している。プルデンティーノ氏は、流行の初めには、いくつかの反中国現象が発生したと述べた。「イタリアでは、元内務相により人種差別がエスカレートした。北部と南部では人種差別が非常に深刻だ。当初、イタリアの中国コミュニティは攻撃されていたが、まもなく世論の焦点は、感染症対応へと関心が移行した」

イタリア政府は感染症対策のために、国内すべての学校を休校とした。大学はオンライン授業を行っている。ほかにも、感染者の多い北部ボンバルディアでは、店舗や劇場などの封鎖措置が取られた。

イタリア連立政権は、最新予測で2020年のGDPを0.6%増と見込んでいるが、先月から始まった中共ウイルスの感染拡大で最も生産性の高い北部地域の活動が大きく妨げられており、大半のエコノミストが今年通年のGDPはマイナスになると予想している。

(翻訳編集・佐渡道世)