武漢から始まった中共肺炎(武漢肺炎とも呼ぶ)が全世界に広がる中、台湾の防疫対策に世界から称賛の声が相次いだ。成功の裏に中国共産党に対する強い不信感を垣間見ることができる。
中国本土からわずか130キロしか離れていない台湾が13日の時点で、感染者は50人(死者1人)となっている。10日付け米NBC局は感染が確認された100余りの国と地域の中で、台湾の発症率が50万人あたり1人と最も低いとし、台湾の防疫対策は各国が学ぶに値するものと推奨した。
人口2300万人の台湾は、早期介入や柔軟性のある指揮命令体系、実践的な防疫戦略、情報の透明化などによって、ウイルスの拡散を最小限に抑えることができたと、英紙デイリー・テレグラフが6日に伝えた。
同紙はまた、今回の中共肺炎との闘いで発揮した台湾の素早い対応力と専門力が、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の経験と、中国政府およびWHO (世界保健機関)に対する強い不信感から生まれたものだと論じる。
中国当局の圧迫による孤立と困難
長い間、中国政府は台湾が中国の一部であると主張し、外交圧力や浸透工作などで台湾を国際的に孤立させようとしている。
台湾・陳建仁副総統は先月末、「産経新聞」の取材で、台湾は中国共産党の圧力によって長年、WHOとその年次会合から排除されているため、世界の防疫の「抜け穴」となる懸念があると述べた。
それによると、台湾でSARS流行が始まったとき、台湾政府は中国当局やWHOからはウイルスの情報や最新情報を得られず、最後には米疾病予防管理センター(CDC)からやっと入手できた。その時はもうSARSを封じ込める初期段階を逃したため、病院での集団感染が発生し、73人の死者を出した。
しかし、台湾はSARS時の教訓を踏まえ、感染症に対する警戒心や危機意識を高め、防疫対策の徹底に努めてきた。
SARSの翌年(2004年)に、台湾は米国疾病予防管理センター(CDC)を参考に、防疫の司令塔である「国家衛生指揮センター」(NHCC)を立ち上げた。
「抜け穴」から世界のお手本への大逆転
スタンフォード大学医学部小児科の王智弘(Jason Wang)助教授は、テレグラフ紙の取材で「台湾政府はSARS以降、次の感染症に備え、予防措置を講じている」と語った。
同氏は米医師会が発行するジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)に発表した論文で、「台湾は危機を早期に発見し、毎日、定例ブリーフィングを通じて、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染状況に関する正確かつ透明な情報を即時公開している。台湾は危機が訪れる前にスピード対応でき、国民保護の模範である」と称賛した。
台湾政府は1月20日、一連の施策を迅速に打ち出すため、NHCCの下で中共ウイルス感染症対策本部の「中央感染症指揮センター(CECC)」を開設した。
CECCの指揮を執る陳時中衛生福利部長(保健相)は12日の記者会見で、台湾の疫病対策が成功した理由について、警戒心および防疫経験、専門知識、情報活用能力、加入率の高い国民健康保険制度など5つの要素を挙げた。
また、流行はいつピークに達するかについて、陳氏は、感染状況を予測できるのは中国共産党とWHOしかないとし、「発生源である中国は感染件数が最も多く、感染経緯にも詳しいが、当局の発表は誰も信用していない。多くの専門家と情報を持つWHOは何も言わなかった」と不信感をあらわにした。
防疫の鍵「共産党を信じない」
WHOのテドロス事務局長は9日、世界100数カ国で中共ウイルスの感染者が確認され、各国の状況は大きく異なり、感染約11万例の93%が中国、イタリア、韓国、イランの4カ国に集中していると指摘した。
7日付けの大紀元(中国語版)によると、台湾の人権派弁護士・朱婉琪氏は「今回の防疫で失敗した国の多くは、医療後進国ではない。これらの国に共通点がある。つまり、中国共産党との利益関係を忖度し感染状況を軽視したからだ」とし、「台湾に有効な防疫壁ができたのは、台湾人が共産党を信じなかったのが鍵だ」との見方を示した。
米フーバー研究所の古典学者・歴史家のビクター・デイビス・ハンソン(Victor Davis Hanson)氏は、2月20日付のFOXニュース(電子版)への寄稿で「中国共産党政府は14億の自国民だけでなく、世界全体にとっても生存の脅威となっている」と書いた。
SNSウィーチャット(微信)に投稿された中国人ユーザーの書き込みでは、「ウソの代償とは?真実を見誤ることじゃない。本当に危険なのはウソを聞きすぎて真実を完全に見失うこと」と旧ソ連のチェルノブイリ原発事故調査にあたった科学者ヴァレリー・レガソフ氏の言葉が引用されている。
(翻訳編集・王君宜)
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