大紀元はこのほど、中国当局の極秘文書を入手し、中国共産党(以下、中共)が20年前から国家権力を乱用し、法制度を操作し、法輪功学習者に対するジェノサイド(集団殺害)を行ってきたことを明らかにした。
「絶密(極秘)」と記された同文書(原文)は、中国共産党最高法院(裁判所)弁公庁秘書一局が2000年11月30日に印刷・配布したもので、中国共産党の最高裁判所、最高検察庁、公安部、国家安全部、司法部の5省庁が共同で発表した意見書である。
5省庁は文書の中で、当時の江沢民国家主席が法輪功を厳しく取り締まるよう指示したことについて、「行政および司法各部門が断固として実行に移さなければならない」と述べている。
同文書は、法輪功学習者が法輪功弾圧の真実を伝えるビラやパンフレットなどを作成、印刷、配布することは、「国家政権転覆を扇動する行為」に該当するとし、司法当局が刑法105条2項の「国家政権転覆扇動罪」で起訴することを要求している。
また、同文書は、法輪功学習者が、中共による不法逮捕、強制労働、監禁、および重傷や死亡を伴う拷問などの迫害を暴くことは、「党と国家の指導者への誹謗中傷」に該当するとし、司法当局が246条の「侮辱罪」で訴えることを要求している。
5省庁は文書の中で、法輪功学習者に対し無実の罪名をでっち上げただけでなく、法輪功に関わる事案が「政治性、法律性、政策性のレベルが高い」とし、「行政・司法各部門は党委員会の統一的な指導の下で、密接に協力しなければならない」と主張している。
弁護士「中国共産党による集団殺害の証拠だ」
中国で長年にわたり、法輪功学習者の無罪を主張し続けてきた中国の人権派弁護士・陳建剛氏は大紀元に対し、同文書について「これは中共が国家権力を動かし法輪功学習者に対して行った戦争だ。中共の戦争犯罪とジェノサイドの証拠だ」と述べた。
陳弁護士は、立法権のない5省庁がこの文書を作成したこと自体が違法であるとし、これは単なるスローガンのようないわゆる法執行態度であり、文書自体は法律ではなく、司法解釈の性質に合わないと指摘した。
陳氏はさらに、「違法性は、公開されていない機密文書であることにもある」とし、「法律文書は一般に公開されて初めて有効となる。しかし、中共は秘密裏に法律を作っているのに、どうやって国民に守らせるのか。したがって、このような法律は陰湿な迫害であり、違法行為である」と強調した。
法輪功迫害、国家権力が駆動する犯罪
陳弁護士はこの極秘文書、および法輪功への迫害について、専門的な論証と分析を行い、法律に基づいた3つの常識または前提条件を取り上げた。
第一に、中共政権は1999年から法輪功学習者に対する残酷な弾圧を開始した。それは政治運動であり、法律とは関係がない。中共は法律という名の下、「公検法(警察・検察・裁判の総称)」機関を利用し政治的迫害を行っている。
第二に、中共による法輪功弾圧は、何の法的根拠もない。中共政権自身も、法輪功に対し、違法性または「邪教(カルト)」の認定に関する法令や条例を定めていない。
陳弁護士は長年経験した法輪功学習者の裁判で、すべての法廷で同様の質問をしたが、検察官、裁判官あるいは警察のいずれも法輪功弾圧の法的根拠を提供できなかった。
第三に、法輪功学習者は違法行為をしていないということだ。法輪功学習者が社会に対していかなる危害もないことはよく知られている。罪を裁くには、少なくとも違法行為や犯罪行為を確定する法律が必要不可欠である。しかし、中国では、このような法律が存在しない。
また、陳氏は文書に使われている表現と言葉遣いが、中共の不条理さを物語っていると指摘した。全文には「反動」や「打撃」など文化大革命らしい言葉があふれ、これは政治的迫害であることを示しているという。
「タイトルの『認識を高め、法執行の思想を統一する』は、この文書が江沢民の個人的意志を実行するためのものであり、法輪功迫害は江沢民と中国共産党が主導した違法な政治運動であることを示している」
陳氏は同文書の中で言及されている中国刑法第300条「邪教組織を利用した法執行妨害罪」を重点的に分析し、これも中国検察当局が法輪功学習者を陥れる最も多くの罪名であるとした。
中共が法輪功に「邪教」というレッテルを貼ることは、いかなる法的根拠もない。また、法輪功は組織性も政治的活動もなく、個人的に実践する修養法である。中共が法輪功学習者を起訴するのは、自宅で修煉すること、あるいは宣伝資料を制作することであるが、これらの行為はどの国の法律や法規の執行も妨げるものではないという。
陳氏によると、法輪功が無実であることは明らかである。しかし、中共は偽造証拠で法輪功学習者を罪に陥れ、これこそが本当の犯罪行為である。これを隠蔽するために、中共は国内外で虚偽の報道や欺瞞的な宣伝工作を行っている。
陳氏はまた、「中国本土で扱う案件が増えれば増えるほど、中共の残酷さと極悪非道な性質を実感する」とし、「中共が自らの法律を破り、法の執行を妨げているのは、中共の公検法だけだ。彼らはこの文書を完全に遵守し、法輪功に対する残虐な弾圧を実行している」と述べた。
中国共産党の「集団殺害」「人道に対する罪」、審判の幕開けへ
国際刑事裁判所ローマ規程では、「ジェノサイドと反人類罪(人道に対する罪)は、国際社会全体で注目されている最も重大な犯罪である」とされている。
2002年以来、多くの法輪功学習者は、国際刑事裁判所および米国、カナダ、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、ベルギー、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、韓国など多くの国の裁判所で、中国の江沢民元国家主席をはじめとする法輪功弾圧の首謀者らを「ジェノサイド」と「人道に対する罪」で提訴し始めた。
過去21年間、国内外の法輪功学習者は、平和的な請願活動を通じて、中共が中国本土の法輪功学習者に対して行った恣意的な虐殺や臓器狩りなどの迫害行為を国際社会に暴露し、弾圧の即刻停止を呼びかけている。
2019年6月17日に英ロンドンで開かれた「民衆法廷」の中国臓器収奪問題・最終裁定では、議長を務める元検事総長ジェフリー・ナイス卿は、中国では移植手術の供給のために臓器収奪が行われているとの事実が「避けられない」「相当な規模で行われている」と結論を下した。同時に、すべての政府や企業などは、共産党政権の中国における、国家的な人道に反する罪を認識するよう呼びかけた。
米国マイク・ポンペオ国務長官は7月20日に声明を発表し、中国政府に対し、「法輪功学習者に対する21年間に及ぶ迫害はあまりにも長く、終わらせなければならない」とし、中共による法輪功学習者への非人道的な虐待の即時停止を求めた。
ニューヨーク在住の時事評論家、朱明氏は大紀元の取材に対し、米国をはじめとする民主主義国は今、中国共産党の邪悪な性質を明確に認識し、その全体主義が世界平和を脅かしていることを認識しているとし、世界は今、中共に対する破滅の波を目の当たりにしており、中共とそのメンバーが犯したジェノサイドと人道に対する罪への「最後の審判」の幕が開こうとしていると述べた。
(翻訳編集・王君宜)
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