日本の専門家はこのほど、重金属による土壌汚染の深刻化が、中国の食料自給率を低下させた一因であるとの見方を示した。日経新聞の英文メディア「Nikkei Asia」が4日、報じた。
中国の農業問題に精通する愛知大学の高橋五郎・名誉教授は、中国の食料自給率低下の主因として、農業従事者の減少と「農耕地の土壌環境悪化」を挙げた。一方、農学者の川崎広人氏は、化学肥料の過剰使用で土壌の状態が劣化しているとした。川崎氏は化学肥料のほかに、住宅開発やインフラ建設、植林プロジェクトなどで、中国の肥沃な農地が破壊されたと指摘した。
同報道は、中国当局が2019年の国内食料自給率が95%を上回ったと発表したことに懐疑的な見方を示した。カロリーベース、生産額ベースに基づいて、各国の食料自給率を定期的にまとめる農林水産省の担当者は、十分なデータがないとして、中国の食料自給率は「不明だ」と示した。
一方、高橋教授が国連食糧農業機関(UNFAO)のデータで試算した結果、中国の食料自給率は2000年に94%であったが、2005年には89%、2010年に83%、2020年に76%と年々、右肩下がりになっている。
報道は中国で2014年に発表された調査報告書を引用した。2005~13年まで実施されたこの調査は、中国の農耕地の19.4%がカドミウムや水銀などの金属で汚染されていると示した。
中国国営新華社通信の傘下雑誌「半月談」は今年1月、「カドミウム汚染米」が重金属に汚染されていない一般のコメの値段より安いため、四川省徳陽市で人気商品になっていると報道した。昨年、広東省、湖南省、江西省、北京市など各地で、基準値以上のカドミウムを含むコメが出回っていると伝えられた。
今年3月5日に開催された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、中国の李克強首相は政府活動報告を行った際、「食料節約キャンペーンを実施する」と宣言し、「食の問題を解決することは最優先課題で、14億人の食糧安全保障に力を入れる」と述べた。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。