米共和党議員2人は21日、米国の農業イノベーションの成果が中国などの「外国の脅威」の手に落ちるのを防ぐため、農務省内に情報局を設置する法案を提出した。
「2021年農業情報対策法(Agricultural Intelligence Measures Act of 2021)」と題するこの法案は、アーカンソー州のトム・コットン上院議員とアイオワ州のジョニ・アーンスト上院議員によって共同提出された。
法案によると、新設される情報室は中国などの外国の脅威から米国の農業を守ることを目的としている。外国の脅威を把握するには、この情報室は情報機関や国立研究所と協力する必要があるという。
この情報室は、米国の農業知識や技術の盗用、生物兵器攻撃の開発や実施、サイバーや隠密作戦など、米国農業を「妨害・混乱」させる外国の脅威に焦点を当てる。
また、この情報室は「情報機関での勤務経験が豊富な」ディレクターが率いることになる。農務省と情報機関との「連絡役」として、情報室は、米国内の農業関連情報の収集・分析を依頼する権限と、農業に関連する外国の活動についての情報を情報機関と共有する権限を持つことになる。
法案では、2022年度の関連予算として97万ドル(約1億円)が計上されている。
法案の狙い
この法案の狙いについて、「中国共産党は、妨害工作や知的財産の窃盗を通じて、米国の主要産業を弱体化させようとしている。農業も例外ではない。私たちの法案は、我が国の繁栄と自由を支えている食糧と技術を守るのに役立つ」とコットン氏は声明で述べた。
アーンスト氏は声明の中で、中国共産党のような外国政府は長年にわたって、アイオワ州の農家を利用し、知的財産を盗み、その他の悪質な活動を行ってきたとした。「この法案は、アイオワ州および全米の農業関係者を保護し、彼らが世界に食料や燃料を供給するという大事な仕事を継続できるようにするためのものだ」と述べた。
2013年5月、アイオワ州の畑からトウモロコシの種子を盗んだ容疑で、北京大北農業科技集団(DBN)の莫海龍・国際業務担当を含む7人の中国人が逮捕された。主犯の莫被告は2016年10月、農業スパイの罪で3年の懲役刑を言い渡された。
中国当局は、先端技術に多額な投資を行ってきた一方、種子の研究開発にはほとんど投資してこなかった。
中国種子貿易協会(CNSTA)が発表した「中国の作物種子輸出入貿易情報分析2019」によると、2014~19年までの種子の輸入量は6.6万トン、輸出量は2.51万トンで、中国の「外国産種子」への依存度は72%に達しているという。
(翻訳編集・王君宜)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。