【過去最大級】日米共同訓練「オリエント・シールド」始まる 高度な訓練で即応力強化

2021/06/27 更新: 2021/06/27

過去最大規模となる日米共同訓練「オリエンタル・シールド」が6月24日に始まった。九州の奄美大島から北海道に至る広大な地域をまたがる今回の訓練には、史上最多の3000人以上の自衛隊員が参加する。従来の訓練に加え、ロケット砲や地対空ミサイルの射撃訓練も行われる。岸信夫防衛大臣は訓練に先立ち、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、日米の共同訓練を通じて同盟関係を強化したいとの考えを示した。共同訓練は7月11日まで続く予定だ。

「オリエント・シールド」は、陸上自衛隊とアメリカ陸軍が共同で作戦行動を遂行することを想定した毎年行われる訓練で、今年で36回目となる。岸防衛大臣は22日の記者会見で、「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米共同訓練を通じて戦術技量を向上させるとともに、自衛隊と米軍の連携を強化することは大変重要」だと述べた。

さらに、「この機会を通じ、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図ってまいりたい」との考えを示した。

岸防衛大臣によると、訓練の規模が拡大されたのは「今年3月の日米防衛相会談において、高度な訓練の実施を通じて即応性を強化すること」が定められたためだ。

6月24日、伊丹駐屯地で行われた共同訓練開始式には中部方面総監の野澤真陸将と米第40歩兵師団のローラ・イェーガー少将が出席した。中部方面隊は、今回の訓練では共同作戦能力の向上及び領域横断作戦に必要な能力の強化を図ると発表した。

挨拶を交わす中部方面総監の野澤真陸将と米第40歩兵師団のローラ・イェーガー少将(陸上自衛隊公式ツイッターより)

さらに、国家安全保障担当の木原稔(きはら・みのる)総理補佐官も式典に出席した。木原氏は、中国が海洋進出を強め、インド太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増すなかで、日米両国は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて関係を強化していくと述べた。

北海道にある矢臼別演習場において陸自の多連装ロケットシステムMLRSと米陸軍の高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)による共同射撃訓練が実施される。また、陸自の中距離地対空誘導弾部隊は奄美駐屯地で在日米陸軍のパトリオットミサイル(PAC-3)による駐屯地への展開訓練等の新たな訓練も行う予定だ。

(王文亮)