米下院はこのほど、外国から資金提供を受けた科学者が米政府の研究プロジェクトに参加することを禁じる新たな法案を可決した。
この規制は、北朝鮮、ロシア、イランも対象となっているが、中国の高度人材獲得計画「千人計画」の弱体化を狙ったもので、中国共産党の影響力の増大に対抗する大規模な作戦の一環であると見なされている。
法案を提出した共和党のランディ・フィーンストラ(Randy Feenstra、アイオワ州選出)下院議員は、公聴会で「議会、連邦研究機関、国家安全保障機関、大学は何年も悪意のある外国人材誘致を制限するために取り組んできたが、今こそ、アメリカの税金を受け取ることを禁止すべきだ」と語った。
フィーンストラ議員は、法案は「合法的な共同研究や科学技術協力を禁止するものではない」と強調した。
法案は、政府助成金を申請する研究者に、「悪意のある外国人材誘致」に関与していないことの証明を義務付けるよう、全米科学財団(NSF)に対策を促すものである。
下院では現在、6月8日に上院で可決された中国との技術競争に備えた2500億ドル規模の包括的な「米国イノベーション・競争法(USICA)案」への対応が議論されている。フィーンストラ議員は、NSFが他国への協力を禁じることを条件に、資金を分配すべきだと提案した。
しかし、米大学は、海外の資金提供を制限する動きが、大学の研究活動とイノベーションを損なうと反発している。一方、米シンクタンク、ジョージタウン大学安全保障・新興技術センターのエミリー・ワインスティーン研究員は、法案は中国系の研究者だけでなく、米の国家利益と学術の自由を損なった全ての人を対象にすべきだと述べた。
米司法省の資料によると、商業機密窃盗事件のうち、60%が中国と関係している。産業スパイ事件の80%は中国に利益をもたらしている。
下院科学・宇宙・技術委員会のフランク・ルーカス(Frank Lucas)議員は、「両院は、おそらく9月か10月までに合意に達する見込み」と述べた。この包括法案は、両院を通過した後、大統領の署名によって成立する。
(翻訳編集・王君宜)
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