コンゴ民主共和国の地方政府はこのほど、複数の鉱山を閉鎖した。地元住民と中国系採鉱企業との対立を緩和させるためだという。AFP通信が報じた。
AFP通信21日付の報道によれば、コンゴの南キブ州の知事が同州ムウェンガ(Mwenga)地域の採鉱企業6社に閉鎖を命じた。6社はいずれも中国資本か、中国と提携関係にある企業となっている。
同地域には、採鉱業者が集中している。
同州知事は鉱山閉鎖の決定について、「地域住民の利益、環境保護と人権尊重を守るため」としている。
地域社会の相談役を務める弁護士のChristian Wanduma氏は、AFPに対し、「採鉱活動は規制を完全に無視している」と訴えた。
Wanduma氏は、「採掘の停止は前向きな決定であるが、鉱物資源が略奪される地域の権利回復を確保するためには他の措置を講じる必要がある」と指摘した。
同氏はまた、「採鉱企業の活動によって農業用地が占領および破壊され、地元民はそこで農業を営むことができない」と訴えた。
積極的にコンゴで鉱山買収する中国企業
中国企業は近年、コンゴでコバルト鉱山を積極的に買収している。中国屈指のモリブデンメーカー、洛陽モリブデンは昨年12月、銅生産世界大手の米フリーポート・マクモランが間接的に保有するコンゴの銅・コバルト鉱山の95%の権益を買収したと発表した。コバルト産出量世界一に躍り出た。
キサンフ鉱山は、世界最大の未開発コバルト埋蔵地である。 中国の中泰証券の調査レポートによると、今回の買収完了後、洛陽モリブデンのコバルト資源の支配力は248万トン以上から558万トンへと倍増し、スイス資源大手のグレンコア社を抜いて世界最大のコバルト生産企業となった。
洛陽モリブデンはすでにコンゴのテンケ・フングルメ銅・コバルト鉱山を所有している。
同じく中国の鉱山会社である福建省アモイの盛屯鉱業グループは昨年12月、豪州ンズーリ・コッパー(Nzuri Copper Limited)を100%買収し、コンゴのカタンガ州にある同社の銅とコバルトの鉱山を取得した。
コバルトは電動自動車(EV)に使用するリチウムイオンバッテリーに不可欠な原料で、EV車の普及につれその重要性を増している。現在、コバルトの世界全体の生産の4分の3が、コンゴに集中している。さらに、コンゴで産出されるコバルトの半分以上は中国企業が抑えている。
国際人権組織のアムネスティ・インターナショナルは2016年の報告書で、コンゴでのコバルト鉱山開発に児童の強制労働、環境破壊、劣悪な労働環境などの問題が存在していると指摘した。翌年、アムネスティは中国企業を対象とした調査で、これらの人権侵害の問題は改善されていないと報告した。
ブルームバーグが20日に報じたところによると、今月初めにコンゴ政府は、洛陽モリブデン社のプロジェクトへの融資状況などに関する調査を許可したという。
(翻訳編集・李凌)
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