イスラム武装勢力タリバンの報道官は2日、イタリア紙の取材に応じ、中国共産党主導の経済圏構想「一帯一路」について関心を示し、豊富な銅山を所有するアフガニスタンの開発を中国に依頼することを検討する考えを述べた。旧政権崩壊後、アフガニスタンは急激な現金不足と急激なインフレが起きており、タリバンは中国共産党が示す経済支援を受け入れる構えだ。
タリバン報道官ムジャヒド氏はイタリア紙ラ・リパブリカ(La Repubblica)の取材に「中国は私たちの主要なパートナーであり、基本的かつ特別な機会を提供してくれている」と述べた。
ムジャヒド氏は、タリバンが一帯一路に関心があると述べた。一帯一路は、中国共産党によるユーラシア大陸中部における広域開発構想で、インフラと資源開発を通じて、中国が数十カ国におよぶ地域の経済・政治の結びつきを強化することを目的としている。
「私たちは豊富な銅山を所有している。中国ならば近代化するだろう。最後に、中国は世界中の市場アクセスのための切符を私たちに示した」とムジャヒド氏は語った。
アフガニスタン経済は今回のタリバン占領以前から、非常に脆弱だった。米国率いる国際部隊が関わる20年間は海外からの援助に頼っており、国の国内総生産(GDP)の約40%を国際支援が占めていた。
しかし、武装勢力が政権奪取して以来、世界銀行や国際通貨基金(IMF)を含めた国際組織は援助を停止している。さらに、アフガニスタン中央銀行の外貨準備も凍結されている。同行の外貨準備高は約90億ドルで、そのほとんどを米国が保有しているが、米国政府はこれらを凍結した。
欧米諸国は支援再開について、国内情勢の安定や子供、女性などの権利保護の約束を条件としている。しかし、中国はこうした人権問題の条件なく経済、政治、地域の戦略的利益を優先するとみられる。アフガニスタンは中国新疆ウイグル自治区と国境を接する隣国だ。
タリバンの報道官によれば、アフガニスタンの中国大使館はタリバンに対して「オープン」な姿勢を示しており、関係を「強化」するとともに、人道的援助を増やすことを約束したという。
米国らは経済制裁によりタリバンの弱体化を図ろうとしているが、中国が支援を行うことで対策が水泡に帰す恐れがある。
(翻訳編集・佐渡道世)
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