中国電子商取引大手の京東集団(JDドットコム)と配車アプリの滴滴出行が社内で労働組合の設立を計画していることがわかった。各社は、締め付けを強めている中国当局に迎合するために労組の設置を決めたとみられる。中国共産党の支配下では、労組は国民を監視する手段の1つに過ぎないとの指摘がある。
ロイター通信1日付は、情報筋2人の話として、滴滴出行は8月の社内フォーラムで労組の設立を発表した。北京本社の社員が組合のトップを務めて管理するという。しかし、中国の労組規制当局、中華全国総工会(ACFTU)の指導を受けなければならないという。
また、北京市労組規制当局と北京市総工会によると、京東集団は8月30日、同市で労組を設立し、第1回組合員代表大会を開催した。北京市総工会傘下の新聞紙が掲載した写真で、複数の政府当局者が設立式典に参加したことがわかる。
いっぽう、ブルームバーグによれば、生活サービス大手の美団と電子商最大手アリババ集団の社内でも、労組設立を求める声が上がっている。
中国の労働者権益を調査する大学生、呉さんは2日、「滴滴出行などのIT企業が労組を設立するのは、従業員の権益を改善するためではない。これは、当局が国民を監視するための手段に過ぎない」と大紀元に語った。
「共産党には2つの目的がある。1つは民間企業の事業運営を監視すること。もう1つは将来、労働法違反などの名目で民間企業を処罰でき、締めつけをするということだ。民間企業とその背後にある政治勢力が、中国当局に対して不利益をもたらしたら、当局は従業員の権益を守るためだと称してこれらの企業を取り締まることができる」
呉さんは今までの研究調査を通して、「当局は労働者の権利に全く無関心だ」と指摘した。「逆に、合法的な権益を求める労働者らに対して強く警戒しており、共産党政権への脅威と捉えている」と述べた。
国内の労働紛争に詳しい学者、李さんは、滴滴出行などは再び当局にやり玉に挙げられるのを避けるために、労組を設立したと指摘した。「これらの労組は、形だけの労組で、しょせん企業の緊急時対応部門である」
(翻訳編集・張哲)
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