米連邦捜査局(FBI)は11日、バイデン米大統領の大統領令を受け、2001年9月11日の米同時テロ事件に関連する捜査資料の一部を初めて開示した。かなりの部分が塗りつぶされた上での公開となった。同時多発テロで亡くなった犠牲者の遺族は、長い間、事件に関連する文書の機密解除を求めてきた。
機密解除された文書は2016年に書かれたもので、サウジアラビア人のハイジャック犯2人に支援を行ったとされるサウジのロサンゼルス総領事館関係者に関する情報が記されている。同文書によると、15人のサウジアラビア人のハイジャック犯とサウジ政府の共謀を示す証拠は確認できない。
この文書には、FBIが情報機関のエージェントと疑っていた、サウジ領事館勤務のオマル・アル・バユミ氏に関する目撃証言が記されている。FBIは同氏について、2人のハイジャック犯ナワフ・アルハズミ容疑者とハリド・アルミザール容疑者に「旅行支援、宿泊や資金提供」した人物とみなしている。実行犯の2人は2000年、米国に入国した際、「偶然に」レストランでバユミ氏に出会い、多大な支援を受けていたとされる。
9月11日の犠牲者の家族は、週末に発表した声明の中で「多数のサウジアラビア政府関係者による、実行犯2人の支援ネットワークがあったことを示唆する、多くの衝撃的な新事実が含まれている」とし、「サウジアラビア政府高官、アルカイダ、ハイジャック犯が連携していたことは驚くべきことだ」と述べた。
同時多発テロで死亡した約2000人の遺族と、負傷や経済的損失を被った被害者は、サウジアラビア政府に対して数十億ドルを求める訴訟を起こしている。
同時多発テロとの関係を否定しているサウジアラビア大使館は、最近、捜査資料の公表を歓迎すると表明。同国とハイジャック犯に関係は一切ないと全面的に否定した。
バイデン米大統領は3日、9月11日の同時多発テロに関するFBIの捜査資料をめぐり、機密指定を見直し、開示できる関連文書がないか検証するよう連邦機関に指示する大統領令に署名した。遺族は先月、政権が文書を開示しない限り、11日に行われる追悼式典に出席しないようバイデン氏に求める書簡を公表していた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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