[シドニー 21日 ロイター] – オーストラリアがフランスとの潜水艦共同開発計画を撤回し、批判されている問題で、豪政治家は進展の遅れやコスト超過、適切性について何年も前から公の場で懸念が表明されていたため、仏側が想定外と受け止めるべきではないと主張、豪政府の文書からも計画撤回のリスクが存在していたことが示された。
豪州は米英と新たな安全保障枠組みを創設し、その下で原子力潜水艦を建造する。フランスはこの決定に不意打ちを食らったと批判し、駐米大使と駐オーストラリア大使の召還を決めたと発表している。
しかし、豪監査総監の2020年の報告書によると、ドナルド・ウィンター元米海軍長官率いる豪政府の諮問機関は18年9月に、フランスとの潜水艦共同開発以外の代替案を検討するよう助言し、同事業が国益につながるかどうかについて疑問を呈していた。
豪議会の公聴会資料や報告書は、潜水艦建造が始まる前に既に問題が発生していたことを示している。6月に豪国防相は議会に対し、事業について「緊急対応計画」を準備していると明らかにしていた。
フランスの議員も6月に議会で、豪側の計画遅延を巡る懸念や代替案検討の可能性に言及したことが、仏議会の記録で明らかになった。
モリソン豪首相は20日にニューヨークに到着した際、記者団に「オーストラリアの国益に最終的につながらない」ため契約を破棄したと述べた。
フランスとの潜水艦開発計画は16年に発表され、仏政府系造船会社ナバル・グループとは19年2月に契約を締結した。
仏政府当局者らは、契約を巡る問題が何年も前からあったとの見方を否定。各段階で問題は解消され、詳細なデザインに関する契約が9月に結ばれると見込んでいたと説明した。
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