米プロバスケットボール協会(NBA)のボストン・セルティックスに所属するエネス・カンター選手は20日、チベット弾圧をめぐり中国共産党政権を非難した。中国側はNBAセルティックスの試合放送予定を打ち切った。
カンター氏は、ツイッターに3分近い動画を投稿。「チベットはチベット人のものだ」と強調し、「中国政府による残忍な支配下では、チベット人の基本的な人権と自由は存在していない」と訴えた。中国共産党によるチベットとその文化に対する政治的抑圧について、もはや「黙っていられない」と語った。
中国共産党は1951年、チベット人に自治権の行使を約束した上で、強制的にチベットの政治を掌握した。しかし、中国共産党の強制的な再教育を通じて宗教弾圧や拷問、文化侵略を常態化し、住民への支配を強化している。
カーター氏は中国共産党の統治下に置かれているチベット人は「自分たちの言語や文化を自由に学ぶことも、自由に旅行することも、自由に情報にアクセスすることも許されていない」と指摘。70年以上にわたりチベットの僧侶や知識人、スポーツ選手などが、自由を享受しただけで、拘束され、政治的再教育クラスに送られ、拷問を受け、処刑されてきたと訴えた。
また、150人以上のチベット人が自分の命を犠牲にしてまでチベットでの残虐な弾圧を世界に発信しようと試みたとし、「チベットの兄弟姉妹を支持し、彼らの自由を求める声を支援する」と述べた。
中国、セルティックスの試合放送を打ち切り
中国国内では21日、IT大手の騰訊控股(テンセント)のスポーツサイトで、今後放送される予定だったセルティックスの試合をすべてリストから削除した。同社のスケジュールによると、今後のセルティックスの試合は、写真とテキストでしか見ることができないという。
中国外務省の汪文斌報道官はカンター氏の投稿を受け「チベットの進歩と発展に対するいかなる中傷や攻撃も決して受け入れない」と語った。
中国版ツイッター「微博」では、カンター氏の解雇を求める声や殺害予告など、怒りのコメントが多数書き込まれた。のちにカンター氏の名前はブロックされたもよう。
2019年10月には、NBAヒューストン・ロケッツのゼネラルマネジャーを務めていたダリル・モーリー氏が「自由のために戦おう、香港を支持しよう」と香港の反政府デモを支持する内容のツイートをしたため、中国ではNBAの放送が打ち切りとなった。
当時、NBAは「不適切」で「中国のスポーツファンの心を著しく傷つけた」とモーリー氏の投稿を謝罪している。
今回の事態について、NBAはまだ公式声明を出していない。
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