米上院外交委員会は19日、東・南シナ海の領有権を主張する中国の覇権的な海洋進出に対抗することを目的とした法案を賛成多数で可決した。上下両院の本会議でそれぞれ可決後、バイデン大統領の署名が必要となる。
「南シナ海・東シナ海制裁法案」は超党派で可決された。同法案は、日本や韓国が管轄する東シナ海の海域において、平和と安定を脅かす中国の行動や政策に関与した当局者や団体に対し、資産凍結や入国拒否、ビザ発給拒否の制裁を科すよう米大統領に要求している。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国と中国が領有権を争う南シナ海における開発事業(島の埋め立て、灯台や移動体通信の基地局、電力・燃料供給施設、民間インフラプロジェクトなどの建設)に関与する当局者や団体に対しても、制裁を科すよう求めている。
また法案は国務省に対し、中国の東・南シナ海の主権主張を承認する国々に関する報告を定期的に議会へ提出するよう求めるとし、これらの国々には一部の援助を停止することも記されている。
同法案を提出したルビオ上院議員は「自由で開かれたインド太平洋において、中国共産党と人民解放軍よりも大きな脅威はない」と指摘。「米国は、中国による不法な領海主張に対抗するためにさらなる手段が必要だ」と声明を発表した。また同法案の提出に2016年から働きかけてきた同氏は、超党派で法案が可決されたことは重要な第一歩だとし「上院全体がこの法案を速やかに可決することを強く望む」と述べた。
法案共同提出者のカルディン上院議員は、東・南シナ海における中国の覇権的な海洋進出に対抗する必要性を強調し、「法案は、米国が交易や航行の自由、同盟国の主権を守り、国際法則り、平和的で外交的な解決を促進するという超党派による強力なメッセージ」になると同法案の意義を訴えた。
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