南シナ海における中国共産党(中共)とフィリピンの新たな摩擦が発生し、軍事衝突の可能性が高まっている。折しも、中共党首・習近平がベトナムを訪問し、わずか2日間でベトナムと多くの協定に調印した。
この動きは、南シナ海問題において中共が南シナ海でベトナムとフィリピンと同時に対立することを避けるために、経済的な手段を使ってベトナムをなだめる試みと分析されている。
12月12日、中共首魁・習近平は重要な経済会議を後にしてベトナムに2日間訪問した。両国は、国境を越えた鉄道建設に対する中国の資金援助の増額を含む37の協定に調印した。
また、中共は中国南部からベトナムの首都ハノイへの輸送ルートを促進するための補助金をベトナムに提供し、両国を結ぶ他の鉄道システムの開発計画を加速させる用意がある。
大紀元の主筆・石山氏は「中共は南シナ海の紛争を解決するためにベトナムを引き寄せている。中共とフィリピンの対立のキーポイントは南シナ海にある」と語った。
ベトナム、各国の重要な地政学的パートナーになる
習近平のベトナム訪問に先立ち、バイデン米大統領は今年9月、中共の拡張主義的な野心を抑制するためにベトナムを訪問し、両国の関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げした。米越は半導体や主要鉱物を含む多くの協力協定を締結している。
日越外交関係樹立50周年を迎え、11月27日、ベトナムのトゥオン国家主席は日本を訪問し、岸田文雄首相と会談した。双方は、覇権的動きを強める中共を念頭に、安全保障分野での協力の拡大を確認した。
両首脳は日越関係を「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」に格上げし、「あらゆる分野における現在の協力関係を新たな高みへと引き上げ、新たな局面へと更に拡大していく」と表明した。
今や中共、インド、米国、日本はベトナムの「包括的戦略的パートナーシップ」になっている。とはいえ、中共を阻止し、その膨張主義的野心を抑制しようとする西側の努力において、ベトナムが重要な役割を果たしていくに違いない。
加えて、長らく経済的に中国に依存してきた韓国は近年、ベトナムに資金をシフトさせている。文在寅前大統領がASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との協力を強化する「新南方政策」を推進して以来、ベトナムは韓国にとって主要な貿易ターゲットに急浮上した。 韓越の貿易額は2022年に877億米ドル(約12兆5810億円)に達し、中国と米国に次いで、ベトナムは韓国にとって第3の貿易相手国となった。
今年6月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は韓国の一流企業のトップ205人を率いてベトナムを訪問し、トゥオン国家主席と首脳会談を行い、国際情勢が非常に深刻で、世界が複雑な危機に直面している現在、「韓国とベトナムの緊密な協力はこれまで以上に重要だ」と述べた。
韓国の中央日報も、中国の人件費高騰や米中覇権争いを避けるための「脱中国化」が今日のトレンドのようだと報じた。
バイデン米大統領は、西太平洋の「第一列島線」におけるフィリピン、日本、韓国、台湾などの同盟国との軍事協力を含め、台湾海峡で戦争を仕掛ける中共を抑止するためのインド太平洋地域と「同盟国」への米軍配備を主要な外交戦略として継続している。
石山氏は、国際社会が中共に包囲網を張っている中、多くの国がベトナムに利益を与えており、ベトナムはこのゲームの最大の受益者となっていると指摘した。
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