来年2月4日の北京冬季オリンピック開催まで日が迫るにあたり、米国の超党派議員たちは改めて中国共産党による臓器強制摘出など人道に対する罪の重さを強調し、各国が人権問題において強い姿勢で臨むよう呼びかけている。
米共和党のコットン上院議員は11月18日の記者会見で、宗教団体や少数民族への迫害や収監者の臓器強制摘出など中国共産党が犯した人類に対する罪を並べ、五輪開催国としての資格に疑問を呈した。
こうした問題からコットン議員は北京冬季オリンピックを「ジェノサイド・オリンピック」を呼び、外交的ボイコットは「弱すぎるし遅すぎる(too little, too late)」と指摘。また、すべての代表選手や関係者、米スポンサー企業らを含めた完全なボイコットを呼びかけた。
コットン上院議員は昨年12月、クリス・スミス下院議員とトム・スオッツィ下院議員とともに超党派の法案「臓器収奪停止法案(Stop Forced Organ Harvesting Act)」を提出した。この人道犯罪に関わる外国政府高官や組織を制裁対象とする法案だ。
この法案は今年3月にも上下院に再提出された。クリス・クーンズ上院議員とビッキー・ハーツラー下院議員も名を連ねた。同法案を提出するにあたり、スミス議員は「臓器摘出は私たちの世界には存在するべきではない、ひどく野蛮で非人道的な行為だ。国際的な人身売買ギャング、テロ組織、さらには無実の人々を殺し、利益のために臓器を売る一部の政府、特に中国の共産主義政権による恐ろしい虐待を終わらせるために、私たちはもっと努力しなければならない」 と声明を発表した。
米超党派議員、中国念頭にした「臓器強制摘出停止法」を上下院に提出 対象者に制裁
コットン議員は「中国共産党が囚人や中国の宗教団体のメンバーから臓器を摘出していたことを示す証拠が増えている。この法案は、臓器狩りに関与した中国共産党員を特定し、処罰するものだ。中国当局に責任を問うべきではないだろうか」と述べた。
米国プロバスケットボール協会(NBA)セルティックス所属エネス・カンター選手は11月16日、中国共産党が移植用臓器を入手するために無実の人々を集団的に殺害しているとツイートした。中国共産党政権の強圧的で非人道的な行動に対して非難の声を上げ続けている。
同氏は「中国政府は生きている人間から臓器を摘出している。少数民族や宗教団体、チベット人、ウイグル人、キリスト教徒、法輪功学習者などが標的にされている」「中国における強制的な臓器狩りは今すぐやめて」と書き込んだ。
カンター氏のエピソードについて、共和党のダン・ニューハウス下院議員は中国共産党による強制的な臓器摘出に反対し、人権のために声を上げたと称賛した。
「素晴らしいことだと思う。この若者はとても重要なことのために立ち上がっている。国としてもこの価値観を支持しているのだからNBAも支援するべきだ」と述べている。
また、ニューハウス氏は以前、臓器収奪停止法案にも共同で署名している。中国共産党のような残忍な政権に対して、人権面で強い態度をとることの重要性を強調した。「人権を支持するかしないかのどちらかだ。(人権面で)中道はない」と語った。同氏は中国とビジネスを行う米国企業に対しても「率先して人権を支援することが非常に基本的で重要だ。強い姿勢で臨んでもらいたい」と人権意識を啓発した。
米バイデン政権は先月18日、中国の人権侵害を理由に政府関係者の派遣を見送る「外交的ボイコット」を示唆している。
英タイムズは21日、米国と英国、カナダ、豪州、ニュージーランドの5カ国から構成される情報協定「ファイブアイズ」も、北京五輪のボイコットを検討していると報じられた。
外交ボイコットについて、岸田政権は「時期を見計らい決定する」と慎重姿勢だが、自由民主党グループ「国家の尊厳と国益を守る会」(青山繁晴代表)は外交ボイコット案を近日岸田政権に提出すると日経新聞などが報じている。
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