「ゾッとするような映像が私の脳裏に再びよみがえってきた。ウイグル人が目隠しと手錠をされて強制収容所行きの列車に乗せられている実在する映像だ……」
カナダのモントリオール虐殺人権研究所(MIGS)は12月9日、「私たちはゆっくりと消されていく:中国政府によるウイグル人弾圧」と題するシンポジウムを催した。カナダ前司法長官アーウィン・コトラー氏らはスピーチで、冒頭の言葉を発した。
12月9日は、国連が制定した、ジェノサイド犠牲者の尊厳を想起しその犯罪防止を考える国際デーである。
家族全員が突然消えて、美しい家が砂漠のようになってしまった
新疆ウイグル自治区出身で海外に定住しているウイグル人女性のアブドゥル・ラシッドさんは、オンラインでシンポジウムに参加し、一家の体験を語った。
父親(55歳)は退職した公務員、母親(52歳)は定年までフローリング工場の課長だった。30歳と35歳の2人の兄がいて、自動車部品販売業を営んでいた。 家族全員、犯罪歴はなく、政府に反発することもなかった。
2017年、アブドゥル・ラシッドさんは家族と音信不通になった。数カ月後、新疆の強制収容所の話を耳にするようになった彼女は、家族のことが心配になり、さまざまな方法を試してみたが、情報を得られなかった。2018年2月、家に誰もいないというショートメッセージを受け取った。
2020年6月、彼女のもとに中国大使館から返事の電話が入った。2017年に家族全員が逮捕されて有罪判決を言い渡され、父親は15年11カ月、母親は13年、2人の兄はそれぞれ15年11カ月と17年の懲役刑を受けたという回答だった。大使館は判決の理由について、アブドゥル・ラシッドさんに帰国して自ら調べるようにと言い放った。
彼女は「私の家族全員が強制労働収容所にいることを意味する」と悲嘆した。
4カ月前、英ITVニュースの協力を得て、アブドゥル・ラシッドさんは新疆にある一家の自宅の映像を見ることができた。
「私たちの家にはいまだに誰もいない。玄関ドアは外からチェーンがかかっている。悲しい事実が改めて裏付けられた。砂漠と化した(かつての)美しい我が家は、最初ほとんど見分けがつかなかった」
アブドゥル・ラシッドさんは家族のことを心配するあまり、眠れぬ夜が続いているという。「この4年間、私の身も心も砂漠と化していた」
ウイグル人に対するジェノサイド
コトラー氏はシンポジウムでこう述べた。
「中国共産党が100万人以上のウイグル人を拘束した。多くの生存者が強制労働、拷問、レイプ、失踪、殺人、大規模かつ非人道的な人口管理(強制的な中絶と不妊手術)を証言した」
「2015~18年にかけて、ウイグル人の人口は激減し、90万人近くの児童が家族から引き離された。AI技術によるウイグル人への大規模な監視や、その宗教・文化・言語への抑圧は、中国共産党がウイグル族の文化遺産を根絶するためだ」
同氏は「カナダを含む国際社会が、警告や証拠に反応するだけでなく、問題解決のために行動を起こすべきだ」と呼びかけた。
コトラー氏は演説で、悪に対して沈黙することについて、エリ・ヴィーゼル氏(ナチスのアウシュビッツ収容所を生き延びた作家、活動家)の言葉を引用してこう述べた。
「無関心とは、常に被害者ではなく加害者側に立つことである」
(翻訳編集・叶子静)
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