10万人近くの人口を抱える米アリゾナ州ユマ郡は、メキシコから押し寄せる不法移民の急増を受けて「非常事態宣言」を発令した。これにより、同郡は連邦政府の資金援助の受給が可能となる。
当局が発表した声明によると、移民が国境警備隊による処理と釈放に先立って前例のない数の移民が市内に入ってきているため「非常事態宣言」を発令したと発表。「ユマ郡のコミュニティに影響を与えている人道的な危機に対処し、住民の健康、安全、福祉を守るため」だと強調した。
さらに、不法移民が徒歩でユマ郡の農地を通過することで農作物が破壊され、「農業地域の重大な経済的損失と財産的損害」につながると危機感を示した。
同地域の国境警備隊によると、今年度の不法移民の拘束者数は11万4000件以上に上り、前年度の約13倍となった。10月には拘束者が2万1000件を超えるなど、医療機関や住民の生活を脅かす深刻な問題となっている。
トランプ前政権時代の政策を復活
バイデン政権発足後、移民受け入れへの期待から移民希望者が急増した。しかし、移民の中には難民申請という合法的な手段を取らない者や、裁判を受けることなく米国に入国が許されるケースなどが目立っている。
ユマ郡保安官のレオン・ウィルモット氏は、不法移民は亡命が認められる可能性を高めるため、国境を越える前に身分証明書を捨てるなど手法を取っており、法執行機関は混乱していると語った。
「彼らは(母国へ)送還されるとわかっているので、(出身)国との関係を隠すのだ。彼らは(法執行機関や国境警備隊を)たぶらかそうとしている」
大紀元スタッフも10日、ユマ郡で100人以上の不法移民が国境警備隊に連行されるのを目撃している。その中には、ベネズエラ人33人、コロンビア人15人、バングラデシュ人4人、ルーマニア人3人、ロシア人男性2人などが含まれていた。前日の夕方には、インドから来た6人の若者が国境のフェンス付近で越境を試みていたという。
不法移民の増加を受けてバイデン政権は2日、米国で難民申請した不法入国者をメキシコ側に戻し、同国内で待機させるトランプ前政権の移民政策「メキシコ待機」プログラムを再開すると発表した。
アリゾナ州知事ダグ・デューシー氏は「国境危機は制御不能で、日に日に悪化している」と指摘。不法移民の流入に対処するため、ユマ郡にアリゾナ州兵を配置し、同郡の不法移民問題を政権の最優先事項にすると述べた。
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