米紙ワシントン・ポスト14日付は、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のプレゼンテーション用PPT資料100部以上を分析した結果、同社は中国当局による国民への監視と追跡において大きな役割を担っていると報道した。これらのPPT資料にはファーウェイ社のロゴマークがプリントされ、大半は「極秘」として扱われている。
この3000ページ以上のPPT資料は、ファーウェイが、音声・声紋認証、政治的要注意人物への監視と追跡、新疆ウイグル自治区における思想再教育や労働改造、顔認識による企業従業員や顧客への監視など、中国での5分野の監視活動に関わっていることを浮き彫りにした。
2018年のPPT資料は、ファーウェイと人工知能(AI)企業である科大訊飛(iFLYTEK)が共同で開発した「iFlytek声紋管理プラットフォーム」について紹介した。このシステムでは、人の声と「声紋」データベースを照合して個人を特定できるという。PPT資料には、この声紋管理技術は中国当局の「国防安全政策」への支援を目的とすると記されている。
2019年、米商務省は新疆での人権侵害に加担したとして、科大訊飛を含む28の企業や団体を禁輸リストに追加した。
中国当局の国防・安全保障政策に関する定義には、反体制派や宗教的集会への取締り、香港・台湾政策、民族問題、経済安定も含まれている。
ワシントン・ポスト紙が公開した別のPPT資料は、ファーウェイと他の中国企業が共同開発した「インテリジェント統合型刑務所監視システム」について紹介した。
このシステムは、監視カメラやAI技術によるスマートドアなどを管理するほか、思想教育授業への出席や刑務所内での労働シフトなど、収容されている人たちのスケジュールも管理するという。PPT資料は、この技術はすでに内モンゴル自治区や山西省の刑務所、新疆ウイグル自治区の薬物依存症リハビリセンターで使用していると明らかにした。
また、「2017年から現在まで、(新疆)ウルムチ市警察の捜査チームは、動画顔認証システムによって、20年間も逃亡を続けていた容疑者の逮捕など、複数の犯罪容疑者の逮捕と数十件の刑事事件の犯人検挙に成功し、著しい成果を上げた」との内容を記したPPT資料もあった。17年、当局はこのシステムを通して5000万件以上のデータベースとの照合を行い、18年に1000件以上の「正確な検知」を行ったという。
ワシントン・ポスト紙によると、PPT資料の多くは2014年9月23日に作成され、19年または20年に内容が更新されたという。
同紙は、これらのPPT資料は中国当局向けに用意したとの見方を示した。
いっぽう、ファーウェイは同紙に宛てた声明の中で、「弊社はワシントン・ポスト紙が報じたプロジェクトについて全く知らない」と主張した。
(翻訳編集・李凌)
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