米商務省は16日(現地時間)、中国の研究所「軍事医療科学アカデミー」(AMMS)とその傘下の11機関を事実上の禁輸リストにあたる「エンティティーリスト」に追加した。「脳を制御する兵器」などの開発に関与しているという。
米政府が中国政府の脳制御兵器について公式に言及したのは初めてだ。
中国政府はこれまで脳を制御する兵器の開発、保有、使用を認めたことがない。大紀元が調査を行った結果、中国の脳制御兵器開発を裏付ける一部の情報を見つけた。
AMMSは2019年5月29日、脳波信号採集に基づく仮想と現実の相互交流の方法と装置に関する特許を出願した。
同特許出願は許可され、2019年11月26日、2020年8月28日に公示され、特許番号CN110502101A、CN110502101Bがそれぞれ付与された。
同特許文書によれば、この技術は、被験者から脳波信号を採集し、それをコード化してホストコンピュータに送り込み、ホストコンピュータは制御コマンドを発信し、バーチャルリアリティ装置を用いて被験者とコミュニケーションを取ったり、被験者をコントロールしたりする。同特許文書は、「この発明の応用はこれに限ったことではない」と強調した。
中国軍機関紙「解放軍報」電子版は2018年6月1日、「未来の戦争は『大脳皮質』で戦うかもしれない—脳制御兵器:現実とも幻想とも言えぬ少し『信じ難い』」と題する文章を掲載し、脳制御兵器を紹介した。
同文章によると、脳を制御する兵器は主に電磁波、音波、光波兵器に分類され、物理及び化学的方法で人間の脳に影響を与え、脳の思考活動を制御する。同文章は、同兵器は「将来の戦争で計り知れない役割を果たすかもしれない」と指摘した。米国とロシアが開発中だとしているが、中国が開発しているかについて触れなかった。
AMMS傘下の放射及び輻射医学研究所は2012年に「意識制御兵器および行動画像データベースの構築」と題する論文を発表した。
同論文は、意識制御兵器(別称 : マインドコントロール兵器)は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、感情、潜在意識、夢などを通して人をコントロールすることができ、「攻撃用意識制御兵器」の開発に利用できると説明した。
同研究所の徐新萍研究員は、2012年からマイクロ波による脳障害に関する2つの研究を進めている。最近、徐氏の関連論文2本が中国の政府系学術論文サイト「中国知網CNKI」から取り下げられた。
現在、脳を制御する兵器について明確な定義はない。各国政府が公式に認めたこともない。
2016年、キューバの首都ハバナで数十人の米外交官が、頭痛や吐き気、聴覚障害など脳に関わる謎の症状を発症した。医学的にまだ説明のつかないこの症状は、「マイクロ波攻撃」の憶測をよび、「ハバナ症候群」とも呼ばれ、のちに多くの国に駐在する米外交官に広まった。
2018年、在中国広州市の米外交官が同じ症状に見舞われた。中国外交部は当時、「中国側が調査したが、原因を究明できなかった」と発表した。
(翻訳編集・叶子静)
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