国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が今年発表した2021年世界人権報告書によれば、中国の人権侵害状況は天安門事件以来最も深刻であるという。団体もたびたび言及してきた気功修煉法・法輪功を修める学習者たちに対する悪辣な弾圧は、20年以上続く。12月10日に国際人権デーを迎えるにあたり、拷問や収監を経験した3人の中国有識者に大紀元は話を聞いた。
清華大学の助教授、角棒で殴られ歩行困難に
孟軍氏(48)は清華大学電子工学の修士号を取得後、同大学で助教授に就任した。1996年、同級生の紹介で大学で開かれた法輪功のビデオ講座を参加し、修煉を始めた。同氏は修煉後、トラブルにあえば責任転嫁することなく自分の問題点を探し道徳を高めた。持病であるアレルギー性鼻炎や慢性胃炎も、いつのまにか消えていたという。
1999年7月20日、中国共産党は法輪功学習者に対する弾圧を始めた。当局はテレビで法輪功を中傷するプロパガンダを発信し、関連書籍の出版や集団での煉功を禁じた。陳情に出かけた学習者がそのまま連行されるなか、孟氏もまた声をあげることを決めた。孟氏は天安門広場で平和的な陳情を行った。
同年秋、孟氏は警察と北京市公安局に拘束され、清華大学の出勤停止、職位剥奪、給与停止の措置が取られた。その後も孟氏は真相資料の配布を続けたが2000年12月31日に再び逮捕。拷問を受け、北京市公安局第七留置所に拘留された。
2001年12月13日、法輪功の資料配布を理由に法的根拠なく検察に起訴された孟氏は、北京市中級法院によって懲役10年を言い渡された。孟氏に対する不当措置は続き、保釈後も身分証明書の発行がしばらく許可されず、あらゆる不便が生じた。
孟氏は当時の拷問について語る。警察署では木製の角棒で叩かれ足に重傷を負い、その後2カ月近く歩くことが難しくなった。孟氏は身体中、無数の打撲傷を負った。
2002年、孟氏の収監先は北京の前進刑務所に移った。当時の迫害の主な手段は、睡眠を許さず、中国共産党を礼賛する内容や法輪功への誹謗中傷などの動画を長時間にわたり繰り返し見せられるなど。さらに無償の労働力として、強制労働もさせられた。
孟氏によれば、当時の他の法輪功学習者も惨たらしい拷問を受けていたという。北京のある教師は「法輪大法はすばらしい」と叫んだため、身体に一晩中高圧電流を流される「電撃」を受けた。また別の学習者も感電で心的障害を患ったり、顔面を殴られたりしたという。
精神の自由を求めて、2012年、オーストラリアに亡命した。現在は同国でIT企業のシニア・ソフトウェアエンジニアとして働いている。「生まれた祖国を大切に思うが、今は邪悪な中国共産党に占領されている」と孟氏は述べた。
孟氏は当時、中国最高学府のひとつである清華大学の助教という社会階層の高位にあった。彼に対する拷問は、法輪功弾圧を強める当局にとって「見せしめ」にされた可能性がある。「610オフィス」(法輪功弾圧の専門政府機関)責任者・李嵐清は自らキャンパスに赴き「清華大学には法輪功を修煉する人が多く、影響力が大きかった」と語ったことがある。
宇宙や生命の神秘、物質と精神の関連性など、学生たちはあらゆる疑問への回答を、法輪功の修煉から見出していた。法輪功迫害前の1998年、毎朝キャンパス内には煉功を行う学生や教員が多くいたと、海外へ渡った卒業生らが以前の大紀元に明かしている。
(つづく)
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