ブルームバーグ16日付は、中国当局が通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を利用して、外国の電気通信網をハッキングし、各国の国家安全保障に脅威を与えているとの調査報道を掲載した。
報道によると、オーストラリア情報機関の高官は2012年、同国の電気通信システムに「巧妙な侵入」を検出したと米情報機関に知らせた。侵入は、ファーウェイのソフトウェアのアップデートから始まったという。このソフトウェアには「悪意のあるコードが含まれている」という。
「ソフトウェアは一見合法的に見えるが、デジタル盗聴器のように作動する悪意のあるコードが含まれている。これに感染した機器のプログラムは書き直され、その機器を通過するすべての通信は記録されてから、中国にデータを送信される」
報道では、この侵入を見つけた数日後に、コードはアップデートに組み込まれた自己破壊メカニズムによって自動的に削除される。オーストラリアの情報機関は、この侵入の背後には、中国当局のスパイ組織が存在すると見ている。
同国政府は12年、ファーウェイに対して、国家ブロードバンド網設備導入プロジェクトへの入札参加を禁止した。
元政府関係者6人はブルームバーグの取材に対して、オーストラリアからの情報提供により、米情報機関も12年にファーウェイの設備を使った中国からの同様な攻撃を確認したと話した。
12年10月、米下院情報特別委員会が公表した調査報告書は、中国通信機器のファーウェイと中興通訊(ZTE)の設備及びサービスに国家安全保障上のリスクがあるとして、米政府に対し、両社の製品を排除するよう求めた。
米議会の諮問委員会、米中経済・安全保障調査委員会(USCC)の委員であるマイケル・ウェッセル(Michael Wessel)氏によれば、10年ごろから、オーストラリアと米国の当局者は、中国側からのハッキング攻撃の急増と、両国の電気通信システムにおけるファーウェイの役割増大との2つの傾向に警戒感を強め、これらのハッキングとファーウェイの機器との関連性を調べ始めた。
トランプ前政権で国務次官を務めたキース・クラーク(Keith Krach)氏は、米国と同盟国は、中国当局がソフトウェアのアップデートを通じて、ファーウェイの設備を操っている証拠を何年も前から持っていると述べた。
同氏はファーウェイの製品に「バックドア」が設置されているかを議論するのは「無意義だ」とした。「ソフトウェアによって毎日開いているフロントドアがある」ためだ。
トランプ前政権は2019年5月、ファーウェイを念頭に、国家安全保障にとってリスクのある外国の通信機器を、米企業が使用することを禁止する大統領令に署名した。
ファーウェイは一貫して、中国当局のスパイ行為に協力していないと主張し、「証拠が不足している」としてきた。
ブルームバーグは今回の調査の中で、「米政府の取り組みを裏付ける重要な証拠が見つかった」と強調した。
(翻訳編集・張哲)
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