法輪功迫害 幼稚園通園時に拘束されたことも…「両親を釈放して」16歳少女が訴え

2021/12/31 更新: 2021/12/31

「親愛なるお父さん、お母さん、とても会いです。この美しい曲が春の風に乗り、中国に届くことを願っています」

家族団らんを祝い、希望の光のようなニューイヤーズシーズンのイルミネーションが眩い米ニューヨーク。この街に住む湖南省出身の16歳の少女は、不安を胸に抱えている。法輪功の修煉を理由に湖南省長沙市で逮捕された両親のことだ。

「全然連絡が取れていない。どこに行ったのかも分からない。両親に会いたいです」。法輪功の迫害状況を伝える法輪大法情報センターがソーシャルメディアに投稿した1分間の動画の中で、グレースさんは語った。

グレースさんは2019年に両親の支援を受けて渡米。大陸で失われた中国伝統音楽を学ぶために米国の専門学校に通い二胡を習っている。

同センターによれば、グレースさんの父親・陳陽さん(52)と母親・曹志敏さん(48)は2020年10月、長沙市で他19人の学習者とともに法輪功の書籍を読んでいたところ逮捕された。弁護士も圧力をうけて彼らの裁判を請け負わないよう妨害を受けているという。

中国当局は信条を理由にグレースさんの両親を何度も逮捕している。中国国内法で法輪功は違法指定されておらず、学習者の逮捕や有罪判決は不当な措置だ。

2021年末、グレースさんの両親を救出するため、中国の留置所あてに手紙を送るキャンペーンがニューヨークで始まった。グレースさんの通う音楽学校の同級生も筆をとり、留置所宛に十数通の手紙を書いた。強く生きるよう励まし、一日も早く米国で家族が再会できるようにとしたためた。

グレースさんの同級生は、中国で拘束されている彼女の両親に十数通の手紙を書いた(提供:法輪大法情報センター)

気功法・法輪功は1992年、中国で公に伝え出された。健康効果が好評を博し、中国体育局の統計によれば90年代末には推計7000万人が学んでいたという。

しかし、この平和的な精神修養法の道徳的な教えを無神論のマルクス主義イデオロギーに対する脅威と認識した中国共産党は、1999年7月に迫害政策を開始した。中国国内の法輪功情報を伝えるウェブサイト「明慧ネット」によれば、今年12月時点で少なくとも4721人が迫害により死亡した。このほか逮捕・連行後の失踪や収監先の拷問など、凄惨な弾圧は今日も続いている。

迫害開始直後、関連書籍の出版禁止や拘束された学習者の保釈を求め、全国各地から学習者が北京陳情受付・処理機関である国家信訪局に赴いた。グレースさんの両親もこの運動に加わった。

コンピューター技術者である父親の陳陽さんは4年の懲役刑が下り、電気バットで打たれたり、歯が折れるまで殴られたりなどの暴力を受けた。国有企業の人事部員だった母親の曹志敏さんには3年の刑期が下り、1日10時間以上の強制労働を強いられた。

グレースさんの父親・陳陽さん(明慧ネット

通園途中に突然連行

グレースさん自身も一度、拘束されたことがある。

2010年、当時6歳のグレースさんは母親と幼稚園に行く途中、少なくとも5人の身分を明かさない男たちの車両に強制的に乗せられ、洗脳センターに連行された。母親は17日後に釈放された。明慧ネット(中国語)によれば、男たちは後に、法輪功弾圧専門組織で超法規的機関「610弁公室」の関係者であることがわかった。

2021年4月、両親が拘束され、生活がままならなくなったグレースさんを支援するためクラウドファンディング「GoFundMe」の企画が立ちあがった。

今回の逮捕で、グレースさんは両親が再び拷問を受けるのではないかと心配している。「両親の消息が全く分からないので心配」と、グレースさんは以前の大紀元の取材に語ったことがある。「両親が再び暴力を振るわれ、ひどい目に遭うのではないかと心配しています」。

法輪功学習者や信条を理由に拘束された「良心の囚人」に対して、中国共産党は「転化(思想改造)」と呼ばれる洗脳を施す。拷問など暴力を伴う心理的虐待で、信仰を放棄するように強要することだ。

ニューヨークで保護者係を務めるジュリアさんは、両親が逮捕されたとの話を聞いたグレースさんはよく泣いていたという。「時には心の底から泣いているようでした」「両親がどうなるのか、自分の将来がどうなるのか分からないと。パトカーを見るのも、サイレンを聞くのも怖いと話しています」とジュリアさんは付け加えた。

両親が最後に拘束されていることが確認できた中国湖南省長沙市の第四看守所や長沙市公安局の住所は、法輪功情報センターから確認できる。

武田綾香
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