2月初めにオリンピック冬季競技大会の開幕を迎える中国北京市では、昨年12月以降、市内の地下駅や公園、空港など各地の案内表示は英語から、漢字の発音表記(ピンイン)になったことがわかった。国内では、公共施設のピンイン表記案内について、「国民には必要ないものであり、外国人観光客の役に立つものでもない」との不要論が上がっている。
北京市の地下鉄構内の案内はこのほど、「駅」の表示が英語の「Station」からピンインの「Zhan」となった。市地下鉄4号線では、「魏公村站(駅)」の表示である「Weigongcun Station」は「Weigongcun Zhan」に変わった。
天津市の浜海国際空港(簡体字は滨海国际机场)に向かう電車などは、「浜海国際空港行き」を意味する「To BINHAI Internaitional Airport」から「To BINHAIGUOJIJICHANG」に変わった。
北京市内のオリンピック公園は「Olympic Park」ではなく、「Aolinpike Gongyuan」と表示された。北京首都国際空港の第2ターミナルは、「Terminal 2」から「2 Hao Hangzhanlou(簡体字は2号航站楼)」と変わった。ただ、こちらのピンイン表示の後に、英語表示がつけられている。
これらの表示変更は国民の不評を買っている。多くのネットユーザーは、中国語を話せない外国人観光客には、ピンイン表記は「全く意味が通じないだろう」と非難した。
市の地下鉄を運営する北京地鉄運営有限公司(以下は北京地鉄)は昨年12月末、「市の関連規定に従い」、「北京市地下鉄の駅名翻訳新基準」を基に案内表示を変更したとの声明を出した。
中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では、北京地鉄の説明に対して「外国人訪問者のために英語表示があるのに、中国語のピンイン表記に『翻訳』するのは余計だ」との意見がある。
中国紙・光明日報も反対した。「中国人の大半は、ピンインを使わず文章を読んでいる。中国ではピンインよりも、漢字を読める人が圧倒的に多いのではないか」「でも、外国人の多くはピンインを読めないのだ」と同紙は指摘した。
ピンイン発音表記は1958年、中国共産党政権によって制定・導入された。
中国当局は、案内表示変更が北京冬季五輪に関係するかについて言及していない。しかし、一部のネットユーザーによれば、2008年北京夏季オリンピックの当時、北京市当局は市民に英語の勉強を大いに推奨した。国営中央テレビ(CCTV)は「北京市民の英語力やマナーを高める市民運動である」と報じた。
中国当局は現在、人権問題などを巡って米国や欧州と対立を深めている。ネットユーザーらは、当局が西側の文化や価値観に対抗し、政治的イデオロギー強化の一環として、英語を排除しているのではないかと推測する。
中国当局はすでに小中高校での期末試験に関して、英語を対象科目から外し、外国の教材の使用も禁止した。当局は、代わりに「習近平思想」の学習を学生に義務付けている。
(翻訳編集・張哲)
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