下院司法委員会の反トラスト小委員会の共和党トップ、ケン・バック議員は、米国の一部のハイテク企業が中国事業を展開するために中国当局に譲歩したことは「深刻な問題だ」と懸念を表明した。
バック氏は、大紀元の姉妹メディア新唐人(NTD)とのインタビューで、外国政府に協力して市場に参入する危険性を企業が認識するべきだと語った。例えば、香港民主化デモが盛んに行われた一昨年、支持者らが警察の動きを把握するために利用したアプリ「HKmap.live」を、アップルがストアから削除したことを挙げた。
当時、香港警察によるデモ参加者やジャーナリストへの暴力行為を非難する声が上がっていた。「アップルがアプリを削除したことで、デモ参加者は(全体主義政権による取り締まりの)危険にさらされた」とバック氏は振り返る。
民主化運動を厳しく規制する「香港国家安全維持法」が施行されて以降、抗議活動は香港の街から姿を消した。香港政府が発表したデータによると、香港警察は2021年7月31日の時点で、抗議活動に関与したとして少なくとも1万265人を逮捕した。そのうち、2684人が起訴されている。
アップルは近年、地図アプリの削除のほか、iCloud(アイクラウド)データを中国の提携先で国有企業「雲上貴州」に移管したり、ティム・クック最高経営責任者(CEO)が中国の清華大学経済管理学院の顧問委員会議長に就任したりするなど、物議を醸す決定を行ってきた。
実際、中国でのiCloud運営を中国企業に移行させた初日からユーザーの個人情報が漏えいする問題が起き、安全性について懸念する声が上がった。さらに中国は2017年からインターネット安全法を施行し、内資・外資を問わずデータを海外に持ち出す際に当局による審査を受けることや、安全当局に技術協力などを提供することを義務付けた。
新興メディアの報道によれば、クックCEOは2016年に中国当局と約2750億ドル規模と推定される合意書を秘密裏に締結していた。アップルは規制措置を免除してもらうため中国政府と5年間の契約を締結したという。
中国はアップルにとって世界最大の市場だ。昨年10月に発表された第4四半期の決算では、中国での売上高が前年同期比83%増と大きな伸びを記録した。
その他にも米カリフォルニア州に本社を置く世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社シスコ・システムズは中国のネット検閲システム「グレートファイアウォール」の構築に協力。グーグルは米国防総省との人工知能(AI)研究の契約を更新せず、2018年に清華大学と新しいAI研究機関を設立することを決定した。
映画産業ハリウッドは中国の映画市場で成功するために共産党の検閲を受け入れて制作していると、言論の自由保護団体PENアメリカが2020年の報告書で指摘した。
ウィリアム・バー司法長官(当時)は2020年7月、米ハイテク企業やハリウッドをあげて「短期的な利益のために、米国の企業は自国の自由を犠牲にしてまで、(中国の)影響力に屈している」と批判した。
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