中国の不活化ワクチン、オミクロン株には効果低い=英ネイチャー

2022/01/20 更新: 2022/01/20

英学術誌「ネイチャー」は13日付の記事で、中国が開発した中共ウイルス(新型コロナウイルス)不活化ワクチンオミクロン株に対する効果は低いと指摘した。共産党体制は中国ワクチン外交の一環として発展途上国を中心に供与している。この結果について保健専門家は、中国製ワクチンの再評価は避けられないとの見方を示した。

中国の科興控股生物化学(シノバック・バイオテック)製の新型コロナウイルスワクチンを2回接種した25人の血液を分析した結果、オミクロン株に対する中和抗体が全く検出されなかったという。記事は香港大学の研究チームが昨年12月に発表した論文を引用して伝えた。

不活化ワクチンが既存の「懸念される変異株」に指定されたベータ、デルタにおいて効果がみられたのとは対照的に「多数の実験では一貫してオミクロン株にはあまり効果がない」と記事は指摘した。

3回目の接種をしても、他のワクチンに比べて効果が顕著に落ちることも明らかになった。不活化ワクチンを接種した中和抗体の数値が非常に低い患者群に3回接種をしても、改善されなかったという。いっぽう、欧米製のメッセンジャーRNA、組換えタンパク質ワクチンなどは、3回目の接種でオミクロン株に有意な効果を示した。

中国共産党政府はワクチン外交の一環としてアフリカ諸国など発展途上国を中心に広く提供してきた。ネイチャーによると、これまで全世界に供給された約110億回分のワクチンのうち、50億回分が中国製の不活性ワクチンだという。

中国習近平国家主席は昨年11月、中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)閣僚級会談の基調演説で、来年までにアフリカ人口の60%が接種を達成できるよう10億回分のワクチンを提供すると明らかにした。このうち6億回分は無償提供を約束している。

今回の実験結果をもとにネイチャーは、科学者と公衆保健研究者に新型コロナウイルスとの戦いで、不活性ワクチンの役割を再評価することを促した。

不活性ワクチンは化学処理を通じて感染力をなくしたウイルスから作ったワクチン。中国医薬集団(シノファーム)、科興控股生物化学(シノバック)が開発し、全世界に供給している。他のワクチンに比べて安定的で製造しやすいというメリットはあるが、実質的な感染予防効果については多くの疑問が提起されてきた。

崔潤水(CHOI YUNSU)