2020 年始め、中国の武漢から新型コロナが世界に広がって3年余りが経つ。
この感染症のもととなったウイルスは、絶えず変異を遂げながら世界各地で今も流行している。中国では昨年12月に、それまでの厳しい封鎖政策が放棄されて以来、爆発的な感染拡大が止まらない。そのような中国で、新たな変異株が出現するのではないかと懸念されている。
「いつまで続く」中国のコロナ禍
中国はコロナ流行の初期から「人権無視のロックダウン」など徹底した封じ込めを続けたが、その感染は拡大する一方であった。
ゼロコロナ放棄後は「いっそのこと、もう早く感染しちゃったほうがいい」という雰囲気にもなってきている。今や北京や上海などの大都市では人口の9割近くが感染済みだといわれている。
中国疾病予防コントロールセンター(CDC)は15日、「中国で初のXBB.1.5の(本土)感染者が現れた」と発表。国民の間に新たな不安が広がっている。
17日夕方には「中国初のXBB.1.5を検出」とするニュースがホットリサーチのトップにランクインした。これに先立ち、中国当局は1月初旬には、入国者の中からXBB.1.5による感染者がいることについて報告していた。
カナダ公立大学漢方医学教授のジョナサン・リュウ氏は「XBB.1.5はすでに中国国内で広がっているはずだ」と分析している。
リュウ氏は「この冬は新型コロナの流行のほかにも、一般のインフルエンザウイルスも流行している。同時に複数のウイルスに感染する可能性もあるため、安易に中国の官製メディアの宣伝を信じないで、十分警戒するべきだ」と指摘した。
新型コロナのオミクロン株の変異ウイルスの1つである「XBB.1.5」は感染力が強く、免疫力の防護壁をスルーしやすいとされている。
この変異ウイルスは、米国ではすでに主流となっており、米国の最新の推計では感染者の7割以上がこの変異株による感染であることがわかっている。
同変異ウイルスは日本でも確認されている。NHKは15日、東京大学などの研究グループが「XBB.1.5」に対抗する内服薬の効果を実験で確認できたとする報道を伝えている。
中国コロナの現状は、どうであるか?
大混雑の病院や、火葬場への道路に止まったままの順番待ちする車の長蛇の列。
少し前までネットを騒がせていた中国国内の感染拡大のニュースを「最近は見かけないな、流行の勢いが落ち着いたのかしら」とふと思うことがある。
本当に落ち着いたのか、あるいは、当局の厳しい情報封鎖によって情報がなかなか海外に伝えられないのか。
「隠蔽」と「嘘つき」がお得意の中国共産党の統治下では、中国国内の感染状況の実態は非常に不透明だ。外部にいては、時折ネット上に流出した市民の投稿から、その一端を伺い知ることしかできない。
著名な華人ユーチューバー「路徳社」の番組編集業務を担うというツイッターアカウント「糯米団」は18日、ここ数日に撮られたという複数の動画や画像を投稿した。いずれも中国の一部都市の病院内の様子を写したもので、どこも非常に混雑している様子だ。
1つ目の動画の画面には「2023年2月17日、ハルピンの農垦(墾)総医院」の説明が付けられていた。動画に映った院内の重症呼吸器科やロビー、廊下、階段の踊り場などには、いずれも臨時の病床が置かれていた。
18日に撮影されたという、江西省のとある病院を映したとされる別の動画では、見渡す限り人でいっぱいだ。
また、「17日に撮影、瀋陽の中国医科大学附属第一医院」との説明が画面に入っている別の動画も、エスカレーターも含め、身動きが取れないほどの大混雑だった。
さらに14日に「安徽省」から投稿されたSNSの投稿のスクリーンショット画像は、ある病院内の点滴ルームで撮影されたと思われるものだったが、こちらも人で混雑している様子だった。
「昨晩、子供が高熱を出した。病院へ来たら、ここにもたくさんの子供が点滴受けていた」という。「第二波の到来が心配だ」というコメントが、画像とともに添えられていた。
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