ヘイダリアン氏は、世界最大の武器輸入国の一つであるインドにとって輸出契約は「大きな勝利」だと例える。世界の武器輸入総額の9.5%のシェアを持つインドは、2016年から2020年の間に第2位の武器輸入国に浮上。国産防衛製造と輸出に力を入れることでインドは経済を変えようとしている。
ペイン氏は、インドは世界の防衛産業において自国の立場を確立しようとしていると述べた。インド国防省は12月27日、2851品目の輸入禁止宣言の通達を出し、国として年間4億200万ドル以上の節約につなげる。
ペイン氏によると、インドは伝統的に中国から戦略兵器システムを購入しない国々を防衛輸出のターゲットにするという。「もちろん、これらの国々の多くを中国から引き離すことが大きな目的だ」と同氏は述べた。
インドは今や、特にアジアとインド太平洋地域の他の前線国家に対して、新興輸出国になると確信を持てるとヘイダリアン氏は考えている。「ベトナム、インドネシア、マレーシアにも目を向けている。シンガポールなども、将来的にはインドから先進的な兵器を取得することになるだろう。間違いなくインドの防衛産業にとって一種の転換点だと思う」とヘイダリアン氏は語った。
接近阻止・領域拒否
フィリピンがブラモスを手に入れたことの重要性は、このミサイルシステムがフィリピンに装備する「接近阻止・領域拒否(A2AD)能力」にあると長尾氏はみている。
「中国は南シナ海を航路として利用しようとしている。中国の南シナ海へのアクセスを阻止するためのフィリピンの取り組みは接近阻止である。また、中国はフィリピンの南シナ海へのアクセスを拒否しようとしている。アクセスを維持するためのフィリピンの取り組みは領域拒否である」と同氏は述べた。
強い海軍力を持つ中国と戦うために、弱いフィリピンはミサイルを保有してA2AD能力を高める必要がある、と同氏は付け加えた。
「これは非対称防衛だ。対称防衛とは海軍の艦艇対艦艇の防衛である。非対称防衛とは、艦艇対ミサイルの防衛である。今、フィリピンは中国に対処するために、ブラモスミサイルによる非対称防衛を利用したA2ADを求めている」と長尾氏は述べた。
ヘイダリアン氏は、ブラモスはフィリピンが最小限の抑止力を身につけるのに役立つと述べた。この地域では、中国に真っ向から対抗できる立場にある国はなく、中国が米国との量的・質的不利を克服するためにA2ADを利用しているように、中国に対してA2ADを利用する必要があるという。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。