オランダのアムステルダム自由大学(VU)は、中国西南政法大学からVUの異文化人権センター(Cross Cultural Human Rights Centre、CCHRC)への資金提供を今後受け取らない方針を決定した。同国内では、中国側が資金提供を通じてCCHRCに浸透し、学問の独立性を失わせているとの懸念が強まっている。
オランダ放送協会(NOS)19日付によると、2018~20年まで、CCHRCは毎年、中国の西南政法大学から25万~30万ユーロ(約3222万~3866万円)の資金を受け取っていた。同大学はCCHRCの唯一の外国資金支援者である。
報道は、「CCHRCの研究者らは中国当局のウイグル人住民への抑圧を否定し、当局の人権政策を公に擁護した」と指摘した。オランダ国内では、研究活動におけるCCHRCの学問の自由について強い懸念を抱いているという。
VUは今年受け取った補助金をすでに西南政法大学に返したと示した。これまでの資金の返金などについて検討中だとした。
ロベルト・ダイクラーフ(Robbert Dijkgraaf)教育文化科学相は、CCHRCが中国当局の人権政策を擁護していることについて「非常にショックを受けた」と話した。
同大臣は「オランダの学術機関は、他国による望ましくない影響を受けるというリスクに常に注意を払っている。特に人権など普遍的価値観に関係する場合、学術の核心的な価値を守るために適切な措置を講じるべきだ」と述べた。
民主66党(D66)は議会に対して、科学界、経済界および社会全体に対する中国当局の影響力について繰り返し調査を求めている。
CCHRC責任者のトム・ズワルト(Tom Zwart)氏について、NOSは別の記事で、同氏は「中国国営テレビの常連客」と批判した。ズワルト氏は過去、中国の国営テレビに対して、「人権についてどう思うかを決めるのは、政治家、特に西側の政治家に任せるべきではない」「中国政府は最大限に人権を尊重している」などと発言した。
CCHRCのスタッフであるピーター・ペヴェレッリ(Peter Peverelli)氏は、中国新疆ウイグル自治区には「西側メディアの思いつきである強制労働や大虐殺などはない」と発言した。
CCHRCのホームページには、スタッフらが2020年10月に中国新疆を訪問したとのニュースリリースが掲載されている。スタッフらは「欧米の報道で描かれているような深刻な状況はなかった」「ウイグル人や他の少数民族への差別はない」とした。
NOSはオランダ国内の複数の専門家を取材した。専門家は中国側の資金を受け入れたVUの学問の独立性について「疑問を提起せざるを得ない」との見方を示した。
国際関係学のロブ・デ・ワイク(Rob de Wijk)教授は、CCHRCのトム・ズワルト氏が中国のテレビに出演し「独裁政権を正当化した」と非難した。
(翻訳編集・張哲)
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