ブリンケン米国務長官は、中国共産党の攻撃的な姿勢により米中関係はますます悪化してきていると述べた。また、党による戦略的な機微分野の米国投資を避けるため、同盟国と国際機関との連携強化が必要だと訴えた。
ブリンケン氏は24日、アトランタのハルバ・アヒム・シナゴーグが主催したオンラインイベントで、バイデン政権が対中政策の基本とする「競争と協力」の関係ではなく敵対的な関係に移っていると指摘。その要因として中国共産党が「国内外でさまざまな手段を用いて、より自己主張が強く攻撃的になっている」ことを挙げた。
ブリンケン氏は、中国では企業と国家の区別がなくあらゆる機関が国家に隷属していると指摘。「問題ある投資」や米技術が中国人民解放軍の手に渡るのを防ぐ効果的な方法とは、同盟国と連携し国際機関との協力を強化することだと述べた。
「米国が単独でこの問題に取り組む場合、世界のGDP(国内総生産)の20%か25%だ。しかし、欧州やアジアのパートナーや同盟国と協力して行う場合は、世界のGDPの40%、45%、50%になる。これは中国にとって無視できないことだ」と強調した。
米上院は昨年、安全保障に関わる産業分野で中国に対抗するため半導体の生産増強に520億ドル、米国の技術・研究を強化する費用として約1900億ドルを充てる法案を可決。下院も25日、同様の法案を発表し、可決されれば上下両院で法案のすり合わせがおこなわれる予定だ。ブリンケン氏はこの法案を、中国の技術に対抗する能力を高めるための「大きな前進」だと表現している。
米国の取り組みには日本も緊密に携わっている。昨年11月、日米と欧州連合(EU)は非市場的政策及び慣行がもたらすグローバルな課題に取り組むため、三極パートナーシップを刷新。さらに同月、先端技術分野などで影響力を拡大する中国を念頭にした日米間やインド太平洋地域での通商分野の協力について協議する「日米通商協力枠組み」を設置した。
21日に行われた日米首脳オンライン会談では外務・経済担当閣僚による協議の枠組み「経済版2プラス2」の作成に合意した。中国を念頭に経済安全保障面で連携を強める。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。