内閣府「消費者物価の動向と経済対策の効果」分析資料公表

2025/12/06 更新: 2025/12/06

2025年12月5日、内閣府は「消費者物価の動向と経済対策の効果」と題した分析資料を公表した。この分析は、依然として続く物価高騰に対し、政府が実施する経済対策が家計や経済全体、そして物価に与える影響を検証したものだ。本資料は、個別物価の抑制と中期的な成長投資の両立を目指す政府の狙いを明確に示している。

物価高騰と経済の不透明性への対応

今回の経済対策が策定・分析された背景には、いくつかの重要な経済状況がある。まず、最近の消費者物価の上昇要因を見ると、特に食料の寄与が大きいことが指摘されている。他方で、食料とエネルギーを除いた物価の伸び率は2%を下回る水準で推移している状況にある。

また、政府は物価高への対応に加え、潜在成長率の伸び悩みや世界経済の不透明感等に対応する必要があるため、前年度の対策から実質GDP比で0.5%pt程度規模を拡大させた。これは、2025年7-9月期においてGDPギャップがゼロ近傍にある中で、経済の需給両面を中期的に伸長させることを目的としている。

経済対策の目的と個別対策による押し下げ効果

この対策の目的は、食料・エネルギーの物価変動に対し、個別物価の抑制と所得面の支援を通じて家計を保護しつつ、投資促進策により中期的に需給両面を伸長させることである。

政府は、食料品を対象とした重点支援地方交付金による家計支援に加え、ガソリンや電気・ガスといったエネルギー価格の抑制策を講じている。

これらの価格抑制措置は、消費者物価(総合)に対して明確な押し下げ効果をもたらす見込みである。ガソリン価格抑制(ガソリン税の当分の間税率の廃止による段階的な価格引き下げ)により、措置がない場合と比較して、通年で▲0.3%pt程度、消費者物価が押し下げられると試算されている。

さらに、電気・ガス料金負担軽減支援事業(2026年1月~3月)と合わせた場合、来年2月~4月では、ガソリンと電気・ガスによる価格抑制効果の合計で、消費者物価を▲0.7%pt程度押し下げる見込みだ。

インフレ加速の影響は限定的

今回の経済対策は、実質GDP比で+0.5%pt程度拡大され、実質GDP押し上げ効果は「+3兆円程度」と見込まれている。この効果が今後3年程度で徐々に発現すると仮定した場合、年0.17%~0.25%pt程度GDPギャップを押し上げる可能性がある。

このGDP押し上げ効果が物価に与える影響を分析すると、消費者物価(総合)への寄与で考えれば、+0.1~0.2%pt程度に留まると推察されている。

内閣府は、以上の分析結果、特に個別物価対策による消費者物価の通年▲0.3%pt程度の押し下げ効果を踏まえれば、今回の経済対策がインフレを加速させる影響は限定的であると見込んでいる。

なお、今年度および来年度の経済・物価の具体的な姿は、年末の政府経済見通しにおいて改めて示される予定だ。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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