過去最大122.3兆円規模と28年ぶりPB黒字化 令和8年度当初予算案が閣議決定

2025/12/27 更新: 2025/12/27

2025年(令和7年)12月26日、政府は令和8年度当初予算案を閣議決定した。これを受けて高市総理大臣は記者会見を行い、過去最大規模となる予算の狙いと、日本の財政運営の新たな指針を示した。

予算案の概要:過去最大122.3兆円と「強い経済」追求

令和8年度の一般会計予算案は、総額122.3兆円と過去最大規模になった。高市総理はこの予算について、令和7年度補正予算から「切れ目なく」対応し、「日本列島を強く豊かにするための予算」であると定義した。

会見で強調された主な政策の柱は以下の通りである。

  • 社会保障と物価対応: 社会保障関係費は過去最大を更新した。経済や物価の動向を適切に反映し、診療報酬および介護報酬の改定を行う。
  • 教育と防衛: 新たな財源確保を通じて「教育無償化」などの予算を増額した。また、防衛力強化については、複数年度の計画に基づき、当初予算段階から継続的な増額を図っている。
  • 地方創生: 47都道府県どこに住んでいても、安全な暮らし、質の高い教育、医療・福祉、そして働く場所を確保できる姿を目指すとしている。

財政の健全化:28年ぶりのプライマリーバランス黒字化

今回の予算案の大きな特徴は、巨額の歳出規模を維持しつつも、財政規律の面で画期的な数字を示した点にある。

  • 税収の見通し: 経済状況の改善を見込む一方、基礎控除等の引き上げといった制度的要因も加味し、83.7兆円と見積もられた。
  • 国債発行の抑制: 新規国債発行額は29.6兆円となり、令和7年度に続き2年連続で30兆円を下回った。公債依存度も24.2%まで低下している。
  • PBの黒字化: 国の一般会計当初予算におけるプライマリーバランス(基礎的財政収支)が、平成10年度以来28年ぶりに黒字となった。

高市総理は、これらの結果を「『強い経済』の実現と財政の持続可能性を両立させたもの」と自己評価している。

背景と今後の予測

今回の予算案の背景には、物価高騰や人手不足が続く中で、経済のエンジンを冷やさずに社会保障を維持し、かつ長年の課題であった財政再建にも道筋をつけるという極めて困難な舵取りがある。

政府は年明けの国会において、予算案に加え、税制改正法案や特例公債法案などの関連法案の速やかな成立を目指す方針だ。高市総理は「誠心誠意、説明を尽くしていく」と述べており、野党からの歳出の精査や財源の透明性に関する追及に対し、どのように理解を得られるかが焦点となる。また、プライマリーバランスの黒字化が、実際の国民生活の向上や将来不安の払拭にどこまで寄与するかが、今後の政権運営の鍵を握ることになるだろう。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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