岸田首相は15日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行った。同国の主権と領土の一体性を一貫して支持することを改めて伝達し、緊張緩和に向け外交努力を続けることで一致した。この会談で、ウクライナに対して少なくとも1億ドル規模の借款による緊急支援を行う意向を伝えたという。松野博一官房長官が16日の会見で明らかにした。
ゼレンスキー氏も日ウクライナ電話会談についてツイートで報告し「地域の現状、安全保障上の課題、国際的な取り組みの強化、外交ルートを通じた平和的解決、インフラプロジェクトについて話し合った」と書き込んだ。
首相は15日にフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とも電話会談し、ウクライナ情勢の緊張緩和に向けて外交努力を続けることで一致した。ウクライナ情勢によりガス価格の高騰が続く欧州に対して日本は液化天然ガス(LNG)を融通しており、同氏から「深い謝意が表された」という。
ウクライナ情勢をめぐり、バイデン米大統領とプーチン露大統領は外交交渉を継続すると表明している。ロシア国防省はウクライナ国境に配備していた部隊の一部を撤収し始めたと発表したが、バイデン氏は15日のテレビ演説で「ウクライナ侵攻の可能性は十分にある」と述べている。
主にプーチン氏に向けられたバイデン氏の演説では「米国と北大西洋条約機構(NATO)はロシアにとって脅威ではない」とし、ロシアが主張するミサイル配備もその計画もないと強調した。
ウクライナ情報通信当局によると、15日、ウクライナ国防省や大手銀行のサイトがサイバー攻撃を受けて一時アクセスができなくなった。米ホワイトハウス報道官は、軍事侵攻に至らなくても、ロシアがサイバー攻撃や地域の分離活動を起こせば制裁に踏み切る可能性に言及した。
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