中国国営新華社通信は29日、中国共産党中央委員会が、湖北省など3省のトップを交代させたと伝えた。習近平国家主席の側近である応勇氏(65)が湖北省党委員会書記の職を解任されたことが注目されている。
住宅都市農村建設部(省)の王蒙徽部長(長官)は、同省の新トップに任命された。
青海省と寧夏回族自治区のトップも交代する。
湖北省武漢市では2019年末、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が初めて確認され、その後感染は急拡大した。翌年1月にロックダウンが実施されるなど混乱に陥った。2月、上海市長だった応勇氏は湖北省トップに起用され、習氏の同氏に対する強い信頼を反映した。
新華社は、応氏の退任後の新職務について明らかにしていない。
専門家の間では今まで、習近平氏の側近として応氏は共産党の最高指導機関である党中央政治局委員に昇任するとの観測が出ていた。昨年11月、共産党の重要会議「6中全会」を開催する前、香港紙・明報は情報筋の話として、李強・上海市党委員会書記と応氏は北京の最高指導機関に入る予定だと報道した。
中国共産党は今秋、5年に1度の党大会を開く。習近平氏は3期目の続投を狙っている。
産経新聞の矢板明夫・台湾支局長は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、応勇氏の退任を含む党大会開催前の人事調整は「今は権力闘争が最も激しい時であることを浮き彫りにした」との見方を示した。
中国の高官は退任した後、「老後のために」政府の諮問機関に当たる全国人民政治協商会議(政協)や全国人民代表大会(全人代、議会に相当)で閑職に就くのが一般的だと矢板氏は指摘する。
「もし、習近平氏が党内で絶対的な存在であれば、応勇氏は重要なポストを任されるだろう。もし、習近平氏はそれほどの権力を持っていないなら、側近も退任を迫られるだろう」
(翻訳編集・張哲)
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