米グーグル傘下の動画共有サイト・ユーチューブは20日、香港で来月行われる行政長官選挙の唯一の立候補者、李家超前政務官のチャンネルを閉鎖した。香港の自治侵害などを理由に、米政府が李氏に課した制裁に従ったとしている。
サウスチャイナ・モーニングポストによると、グーグルは「適用される米国の制裁法を順守し、利用規約の下で関連する方針を実施する」ため李氏の動画投稿サイト「Johnlee2022」を閉鎖したと説明した。
李氏は、2020年6月の香港国家安全維持法を施行したとして、林鄭月娥行政長官や中国政府の高官とともに米国による制裁の対象となっている。同氏は当時、治安維持のトップとして民主化運動を取り締まっていた。
李氏の選挙事務所はグーグルの決定に反発。声明では「国家安全保障を守り続けるという李氏の決意に何ら影響を与えるものではない」と主張した。また、選挙活動の影響はないと強調した。
中国共産党の全国人民代表大会(全人代)で定めた香港国家安全維持法が施行して以降、香港当局は独立メディアや市民団体への抑圧を強化してきた。民主活動家の逮捕が相次いだほか、香港紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)や「衆新聞」などの民主派メディアも運営停止に追い込まれた。同法のもとでは最高で終身刑が課せられる可能性もある。
米国のブリンケン国務長官は4月上旬、「中国共産党の継続的な弾圧により、香港と中国との差は縮まっている」と懸念を表明。「頭脳流出や香港の名誉と競争力の弱体化を招くだけだ」と強調した。
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