長年、中国当局から迫害を受けている河南省在住のキリスト教徒・董釗さんは昨年9月に中国を脱出し、195日間の逃亡生活を経て、今年4月に米国に到着した。
董さんはこのほど、米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に応じ、その一部始終を語った。
当局から最初に嫌がらせを受けたのは2014年。7、8人の警官が教会の集会に突入した。身分証明書番号、携帯電話、自宅住所などの個人情報を登録するよう全員に命じ、集会は違法行為であるという理由で、ただちに解散するようにと命じた。
董さんが「中国の憲法は国民の信仰自由を保障すると書いてある」と主張すると、警官らは彼を地面に押し倒し、殴る蹴るの暴行を加えた。
それから1カ月ほど経った12月、クリスマスパーティーの会場に、数十人の警察官が現れ、参加者十数人全員をパトカーに乗せて派出所に強制連行した。一行は警棒、手錠、ムチなど拷問具を置いている取調室に連れて行かれ、激しい暴行を受け、7日目に釈放された。
「その後、どこに行っても所在が突き止められた。仕方なく、数年前から他の都市に出稼ぎに行った。すると地元警察は親族に対して嫌がらせを繰り返した」
15年、董さんはロシア、キューバを乗り継いで、米フロリダに入国したが、不法入国の罪で移民刑務所に収容された。この間、中国の祖母が重い病気にかかり、妻子が生活に困っていることを知り、董さんは家族の面倒を見ると決意し、米国移民局に強制送還を申請して中国に戻った。
「当時は、子どもや年寄りが中国で生きていければそれでいい」という考えだった。15年7月に習近平当局は、宗教をより厳しく取り締まる政策を施行し始めた。
董さんは地元警察の監視・嫌がらせから逃れるため、妻子とともに河南省鄭州市に移り住み、飲食店を開業した。「キリスト教徒の集まりを察知した私服警察官らが店の入り口を塞ぎ、営業許可を取り消すと脅してきた。そして、ついに店の周りに鉄条網を設置され営業できなくなった」
「また、親族も警察から何度も脅迫されて仕事を失った。時には深夜に警官が親族の自宅にやってきて、玄関のドアを叩いた。親族が私たちに圧力をかけるよう仕向けるためだ。生活、精神面を含め、本当に多くの苦労を経験した。辛かった……。生き残る術はなく、逃げる道を選ぶしかなかった」
昨年9月、董さんは妻子を連れて鄭州市を出発し、北京、香港、東欧、南米11カ国を経由して、原生林を駆け抜け、船で川を渡り、何度も銃を持った強盗に遭い、一部の国の警察から金品をゆすられた。 195日間の逃亡生活の後、董さんと家族は今年4月に米国に辿り着き、政治亡命を申し出た。
(翻訳編集・叶子静)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。