欧米各国への中傷を繰り返す中国の愛国主義者は、実は海外に滞在している。中国SNS大手の微博(ウェイボー)や微信(ウィーチャット)などは4月28日、ユーザーのIPアドレスをアカウントページとコメント投稿時に公開すると決定した。この措置により、一部のユーザーの正体が暴露される事態となった。
中国メディア「紅星資本局」によると、一部のインフルエンサーの微博などのアカウントでは、プロフィールの中に「中国国内情報ブロガー」「海外情報ブロガー」と書かれているにも関わらず、公開されたIPアドレスは実際と違っている。「アメリカ」「イギリス」「フランス」から情報を発信していると称するユーザーのIPアドレスは、上海市、北京市、江蘇省などの国内都市となっている。
1000万人超のフォロワー数を持つ微博ユーザー「英国那些事児」のIPアドレスは広東省となっている。一方、北京市のグルメ・観光情報などを投稿する「北京吃喝玩楽事児」のIPアドレスは湖南省と表示された。
中国共産党政権を美化する映画『戦狼(ウルフ・オブ・ウォー)』シリーズで監督・主演を務めた呉京氏のIPアドレスはタイと記されている。また、中国政府を批判する海外ネットユーザーを攻撃し、「ネット暴力」を繰り返す愛国主義者グループ「帝吧」のIPアドレスは台湾と表示された。
米国や日本を批判する有名な愛国インフルエンサー「連岳」は日米などに海外移住した中国人をバッシングしたが、IPアドレス公開で投稿した場所は日本だとわかった。
5月1日時点で、微博などの各SNS大手はIPアドレスの公開を取りやめた。
微博は3月初め、ロシア・ウクライナ情勢を巡り、一部のユーザーがウクライナに滞在していると偽り、虚偽情報を流しているとして、これらのユーザーのIPアドレスを公開するとの声明を出した。
ユーザー自身が公開設定をオフにすることはできないという。
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