日米欧など先進7カ国(G7)の外相と欧州連合(EU)上級代表は9日、元治安当局トップの李家超氏が当選した香港行政長官選挙は基本的自由への攻撃だとし、選出プロセスに重大な懸念を表明した。李氏のみが立候補した今回の選挙は、選挙委員による投票で1416人が支持し、反対は8人だけだった。
声明は親中派が議席をほぼ独占した昨年選挙について「香港の基本法で定められた普通選挙という目標から遠ざかった」と非難。現在の選出プロセスや李氏の選出は、「香港市民が代表を立てる能力をさらに損なわせた」と明記した。
さらに政治的・市民的権利と香港の自治が着実に侵食されていると指摘し、中国共産党に対して英中共同宣言を順守するよう求めた。李氏に対しては香港で守られるべき基本的権利や自由を尊重し、裁判制度で法の支配を確保するよう要求した。
李氏は保安局長時代、香港国家安全維持法(国安法)の下で民主派を多数逮捕した。選挙委員は90議席中89議席を親中派が占めており、同氏の当選は投票前から確実視されていた。李氏は香港の自治侵害などを理由に米政府の制裁対象となっており、動画配信サイト・ユーチューブは先月同氏のチャンネルを閉鎖している。
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