米国立衛生研究所(NIH)のローレンス・タバック(Lawrence Tabak)所長代行は、中国の科学者の要請でNIHが新型コロナウイルス(中共ウイルス)の遺伝子データを非公開にしたことを認めた。
11日付の米紙ニューヨーク・ポストによると、タバック氏は5月11日、下院歳出委員会の公聴会で、NIHが中国武漢市の中共ウイルス流行初期の遺伝子配列データを「一般公開から外した」が、研究者は依然としてデータ保存用の「テープドライブ」を通じてデータにアクセスすることができると述べた。
公聴会では、ハイメ・ヘレラ・ボイトラー下院議員(共和党・ワシントン選出)がタバック氏に、NIHが中国の要求に応じた理由を説明するよう求めた。
タバック氏は、NIHの配列データベースであるSRA(Sequence Read Archive )に情報を提供した人は、その情報の削除を要求する権利があるが、NIHは情報を削除せず、非公開にしただけであると説明した。
また、「SRAに関するコミュニケーションには改善の余地があることは間違いなく、私もそれを十分に認識している」と付け加えた。
衛生当局幹部が中国の隠蔽要請に「好意的」=米誌
3月31日付の米有力誌「バニティフェア(Vanity Fair )」によると、生物学者のジェシー・ブルーム(Jesse Bloom)氏が昨年、米国連邦政府が運営するデータベースから、中共ウイルスの最初の株の遺伝子配列が消えていることを発見した。
ブルーム氏がこの問題を保健省に報告すると、当時のNIH所長、フランシス・コリンズ氏や米政府の感染症対策トップのアンソニー・ファウチ氏など研究者から批判を浴びた。
昨年6月のビデオ会議で、コリンズ氏とファウチ氏は、ブルーム氏が学術論文の草稿の中で、中国側が遺伝子配列を削除したことを巡って「surreptitiously(内密に)」と表現したことに強く異議を唱えた。ファウチ氏は、この文言は中国側の「隠蔽工作」を示唆していると指摘した。
生物学者のクリスチャン・アンダーソン氏もビデオ会議でブルーム氏を批判した。アンダーソン氏は、武漢の研究者にウイルス遺伝子配列の撤回権利があると主張し、これを疑問視するのは倫理に反すると述べた。
アンダーソン氏は、ブルーム氏の論文を「記録を残さない方法で」プレプリント・サーバーから削除するよう提案したという。
トランプ前政権の大統領補佐官(通商担当)を務めたピーター・ナバロ氏は、ホワイトハウスでの実体験を綴った著書『In Trump Time: A Journal of America’s Plague Year(トランプの時代に=アメリカの疫病年代記)』で、ウイルスの証拠隠滅や一部の研究者や情報提供者の謎の失踪など、中国共産党による隠蔽工作を批判している。
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