[ニューヨーク 21日 ロイター] – 世界保健機関(WHO)は、アフリカの一部地域で散発的に感染が起きていた「サル痘」の感染が欧州を中心に拡大していることに警鐘を鳴らしている。
WHOによると、20日時点で約80人の感染が確認され、感染が疑われる人は50人。以下、感染状況やサル痘のリスクについてまとめた。
<どの程度危険か>
症状は発熱、頭痛、発疹など。
サル痘は天然痘ウイルスに似たサル痘ウイルスに感染して起こるが、天然痘より症状は軽い。特に、米国で確認された西アフリカのウイルス株は致死率が約1%。大半の人は2─4週間で回復する。
新型コロナウイルスよりも感染力は弱い。
発疹がある人との直接の接触により感染が広がっていると専門家は指摘する。
マサチューセッツ総合病院のマーティン・ハーシュ博士は「新型コロナは呼吸器系で感染し感染力も強いが、サル痘はそのようなことはないようだ」と述べている。
<専門家の懸念>
WHOによると、これまでに報告された集団感染は、ウイルスが定期的に循環していない国で発生しているため、変則的な感染だという。感染源やウイルス変異がないかどうかを専門家は調べている。
これから夏にかけ多くの人が集まるイベントなどが開かれるため、感染が拡大する可能性がある。
<感染予防策>
英国では、感染者との接触で感染する可能性のある医療従事者にサル痘の予防にもなる天然痘ワクチンの接種を開始した。米政府は全国民に接種するのに十分な天然痘ワクチンを備蓄していると発表している。
発疹のある人や体調の悪い人との密接な接触を避け、疑いのある人は自己隔離して医療機関を受診する。
<患者急増の背景>
カナダのサスカチュワン大学のワクチンのウイルス研究学者、アンジェラ・ラスムセン氏によると、世界的な旅行の増加や気候変動などがウイルスの発生や拡散を加速させている。また、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を受けて世界はあらゆる種類の新たな感染症への警戒を強めていると指摘する。
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