フィリピン政府は5月31日、中国海警局がフィリピン領海で海洋研究船に嫌がらせを行ったことや、中国側が南シナ海で一方的に禁漁期を設定したことに対して中国大使館に抗議した。
国営フィリピン通信社PNA(Philippines News Agency)によると、同国外務省は4月13日、南シナ海でフィリピン人科学者らを乗せた台湾の研究船「RVレジェンド(RV Legend)」に対し、中国海警局の船が嫌がらせを行ったとして、中国大使館の高官を呼び出して抗議した。
外務省は、中国側の行動は「無害通航と一致しておらず」、フィリピンの海洋管轄権を「明らかに侵害した」と非難した。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)傘下のアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)が5月26日に提出した報告書によると、「RVレジェンド」が昨年3月24日にフィリピンのルソン島の北西約60海里で調査を行っている時、中国海警局の船舶が2~3海里に離れたところで監視していた。
また外務省は、中国公船は同時期、南シナ海のフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内での海洋研究と炭化水素探査活動にも妨害活動を行ったと指摘。
外務省は5月31日付の別の声明で、中国政府が南シナ海北部の海域で一方的に3カ月半に及ぶ禁漁期を設定したことに外交抗議を出したと明らかにした。対象海域はフィリピンやベトナムのEEZが含まれる。5月1日から始まった禁漁期は8月16日まで続くとみられる。
声明は、「1982年のUNCLOS(海洋法に関する国際連合条約)に基づく中国の正当な海洋権益をはるかに超える領域で、漁業禁止を宣言するという中国の毎年の慣行に引き続き抗議していく」と表明。
声明は、中国は禁漁期を設けるにあたり「法的根拠がなく」、今年4月8日に両国首脳が行った電話会議で確認された「相互信頼、尊敬を損なうものである」とした。
フィリピン側は中国政府に対し、「UNCLOS及び2016年の南シナ海仲裁裁判を遵守し、フィリピンの主権、海洋管轄権を侵害する違法行為の停止」を求めると述べた。
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