米国生まれで、今年2月の北京冬季オリンピックで中国代表として出場したフリースタイルスキー女子の谷愛凌(アイリーン・グー)選手はこのほど、米メディアに対し、ユタ州ソルトレークシティーの2030年または2034年の冬季五輪招致アンバサダーを務める予定だと述べた。中国SNS上で物議を醸した。
谷選手は7日、米タイム誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人(タイム100)」の関連イベントでメディアに明かした。同選手は北京冬季五輪に中国代表として出場したことについて「後悔していない」と話した。北京冬季五輪で金メダル2個と銀メダル1個を獲得した。
いっぽう、ソルトレークシティー五輪招致委員会のスポークスマン、トム・ケリー(Tom Kelly)氏は米AP通信の取材に応じ、谷選手は「アスリート代表として」招致に参加しているとした。ただ、谷選手に「正確な肩書き」を与えていないと述べた。
中国メディアが谷選手が米国側の五輪招致アンバサダーになる可能性を報道した後、ネット上では波紋が広がった。「(中国代表として出場したことで)CMキャラクターを務めて1億元以上の収入を得たから、後悔するはずがないだろう」「結局彼女はどこの人?」「中国人でありながら、米国の五輪招致アンバサダーを務めてもいいのか?」などと非難の声が相次いだ。
中国共産党機関紙・人民日報系列の環球時報の胡錫進前編集長はSNS上で、「騒ぐ必要はない」と谷選手を擁護した。環球時報は社説を掲載し、「谷選手が米国の五輪招致アンバサダーを務めることを利用しようとする人がいる」と主張した。
03年にサンフランシスコで生まれた谷選手は、19年に米国代表としてワールドカップ(W杯)スロープスタイルで初勝利。同年6月、同選手は中国代表として国際大会に出場すると発表した。これ以降、同選手の国籍問題を巡って疑惑の目が向けられた。
今年2月、谷選手はメディアの取材に対して「アメリカにいる時はアメリカ人で、中国にいる時は中国人」と述べた。
中国は二重国籍を認めていないため、中国代表になるためには米国籍を放棄し中国籍に帰化しなければならない。しかし、米財務省の記録では、同選手が米国籍を放棄したと証明する関連情報はない。
谷選手は4月8日、習近平政権が北京冬季五輪の開催成功をアピールする「総括表彰大会」に出席し、その後、米国へ向かった。
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