中国国営新華社19日付によると、指導部はこのほど、党や政府機関などの一定クラス以上の幹部の配偶者、子女とその配偶者に対して会社経営や起業などを制限する方針を打ち出した。
指導部は幹部らに対し、家族らがビジネスを行っているかについて毎年上層部に報告するよう義務付けた。
中国共産党最高指導者の日常業務の管理を担当する中央弁公庁が出した規定は、幹部の親族らに対し、企業設立のための出資、民間企業や外資系企業での上級幹部としての就任、プライベート・エクイティ・ファンドへの投資、法的サービスの提供などを禁じた。
新華社は、「(指導部は)幹部の等級が高ければ高いほど、その親族らに商売禁止を厳しく要求する」とした。
規定が公表される前、共産党中央政治局は17日に反腐敗運動を巡り「グループ学習」を行ったという。学習に参加した習近平国家主席は、反腐敗運動を「負けられない、さらに負けてはいけない重要な政治闘争である」と主張。同氏は政治局のメンバーに対し、「自分自身を管理しなければならない上、家族と親戚、周りの人をもより良く監督しなければならない」と求めた。
米国の中国語雑誌「北京の春」の陳維健編集長は、習近平氏が反腐敗運動で党内で権威を高めようとしていると大紀元に語った。
陳氏によると、各地の地方政府は習政権の厳格な「ゼロコロナ」政策に暗に抵抗しており、李克強首相の経済活動再開の号令に従い景気回復を急いでいる。
「地方政府の態度に習近平氏は大きなショックを受けている。党内で自分の権威をさらに高めるために反腐敗運動を思いついたのだろう」
腐敗分子を取り締まることは党内権力闘争でよく使われる手法である。
いっぽう、時事評論家の呉祚来氏は、最高指導部が幹部の親族らに商売を営むことを禁止した背景には、ロシアのウクライナイ侵攻があると指摘した。欧米は制裁措置としてロシアの政治家や一部の実業家の海外にある資産を凍結した。
「中国の高官らは海外に多くの資産を持っている。ロシアを見て、指導部は内部整理を行う必要があると感じたのだろう」
中国共産党は今年11月、第20回党大会を開催する予定。党大会で3期目続投を狙う習近平氏は、高官の親族に会社経営などを禁じたことで「党内の反習近平派を威嚇している」と呉氏は述べた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの5月の報道では、習近平政権は配偶者が海外に大量の資産を保有している幹部を昇進させない方針を打ち出した。また、幹部とその親族らは留学や駐在などの正当な理由がない場合、海外で銀行口座を開設するのも禁じられた。
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