バイデン米大統領は27日、違法漁業の取り締まりを強化する覚書に署名した。違法な操業を繰り返す中国を念頭に、米国は国内機関や他国のパートナーとの連携を強化する。
ホワイトハウスの声明によると、違法・無報告・無規制(IUU)漁業問題に対処する監視強化に向けた「緊急行動を取る」ため、米国はイギリスやカナダと違法漁業を取り締まる連携の枠組みを立ち上げ、漁業の透明性の確保などに取り組む。
さらに米国務省や国防総省など21の機関と共に5年間の戦略的計画を策定し、台湾やベトナム、セネガルなど5カ国と連携していくという。
米政権高官3人はホワイトハウスの記者会見で「IUU漁業は、人身売買、強制労働、不正商品の取引、野生生物の売買、その他の法律違反など、安全保障上の課題や犯罪行為と関連する可能性がある」と指摘。覚書は特定の国に関するものではないとしつつ「中国は世界のIUU漁業の最大の違反国であり、国際機関におけるIUU漁業や乱獲の対策策定の進展を妨げてきた」と非難した。
中国共産党の違法漁業は国家安保の脅威となっている。昨年には、サッカースタジアムを包み込めるほど巨大な地引き網を使用する中国船がインド太平洋全域で漁業を展開した。
JSTORの調査報告によると、中国の巨大な遠洋漁業船団は、合法・非合法にかかわらず、七つの海と90カ国以上の国の海域に進出しているという。
世界の違法漁業問題に対処するため、国連食糧農業機関(FAO)会議で承認された「違法・無報告・無規制漁業問題に対処する協定」には70カ国が参加した。2016年6月5日に発効したが、中国は含まれていない。
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